◆スポーツ報知・記者コラム「両国発」
私は大阪でカメラマンとして働いている。巨人を取材することは年に数回しかない。
NTT西日本から23年ドラフト4位で巨人入りした泉口選手を入寮前に3度取材した。指名あいさつでは持参したストロボが光らず、長時間拘束してしまった。それでも「光るまで待ちますよ」と言ってくれたのが忘れられない。ポーズ写真撮影ではコテコテで大げさなポーズをお願いしても嫌な顔せずに付き合ってくれた。「東京にいる巨人担当はもっとスマートにやってくれるから」とフォローしたつもりが、勝手に自社のカメラマンのハードルを上げてしまった。和歌山日高ボーイズの激励会では「また来たんですか」と軽口を言ってくれ、写真の表情も柔らかくなった。
昨年3月13日のソフトバンクとのオープン戦(ペイペイD)では9番・二塁でスタメン出場し、6回の守備では併殺を完成させる美技をみせた。門脇への華麗なグラブトスは今でも目に焼き付いている。試合後は「もっとやりますよ」と笑っていた。
巨人にドラフト指名され、東京へ戦いに行く選手を見送ることが大阪のカメラマンの醍醐(だいご)味だと思っている。泉口もその一人だ。7月の阪神―巨人戦(甲子園)で会った際に「東京ドームには来ないんですか」と聞いてくれたが、残念ながら今のところ予定はない。それでも大阪から活躍を見守っている。(写真担当・岩田大補)
◆岩田 大補(いわた・だいすけ) 夕刊スポーツ紙で14年間の勤務を経て、2022年に入社。写真担当。第5回WBCやパリ五輪を取材。