◆JERAセ・リーグ ヤクルト2―3阪神=延長10回=(1日・神宮)

 ここで決めるのがサトテルだ。同点に追いつかれた直後の延長10回2死二塁。

阪神・佐藤輝明内野手(26)はヤクルト・大西のフォークを振り抜いた。右越えの勝ち越し二塁打だ。「チャンスで回ってくる、と。準備はできていた。何とか食らいつけてよかった」。敵地のヒーローインタビュー。大勢の虎党の祝福を一心に受け、充実した表情で胸を張った。

 7月19日の巨人戦(東京D)でも延長11回に決勝2ラン。頼れる主砲がまた決めた。一塁が空いており、敬遠も考えられた場面。「向こうも勝負しにきている。負けるつもりはなかったので、良かった」。

この日は島田のヘルメットを借用し、V打。己のバットで主役を譲らなかった。

 球界屈指のスラッガーも、ユニホームを脱げば優しい兄。先月、中学3年生の弟・悠くんが兵庫の阪神地区総体で優勝投手になった。普段から家族のLINEグループには、その日の活躍ぶりが届く。「きょう、打ったよ! とか送ってくれるんですよ。楽しんで頑張ってくれたら」。過酷なシーズンを戦う中、かわいい弟の存在は何よりの励みだ。

 チームは一夜でマジック「36」が再点灯。貯金も今季最多タイ22とした。長期ロード白星スタートに藤川監督は「底力がまたチームについた。このロード、最初の1試合目を取れたのが大きい」とうなずいた。

「このまま最後まで突っ走りたい」と佐藤輝。チーム力を高めながら、V戦線を独走していく。(直川 響)

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