◆米大リーグ レイズ0―5ドジャース(1日、米フロリダ州タンパ=スタインブレナー・フィールド)

 ドジャース・大谷翔平投手(31)が1日(日本時間2日)、敵地・レイズ戦に「2番・DH」で先発出場し、4戦ぶりのマルチ安打となる4打数2安打をマーク。今季ワースト13打席連続無安打で止め、チームの8月初陣での白星に貢献した。

今季のレイズは、昨年10月のハリケーンによって大破した本拠地トロピカーナフィールドの代替球場として使用する、ヤンキースのキャンプ施設「スタインブレナーフィールド」で行われた独特な一戦を竹内記者が「見た」。

 わずか1万46人で満員となった球場が、大谷のプレーで沸いた。2点リードの3回1死。レイズ先発バズのチェンジアップにタイミングを外され、バットは手元から真っ二つに折れた。打球は二塁手前へのゴロとなったが、折れた先端部分も二塁手正面へ舞い上がった。前進できず、打球処理できない間に一塁を駆け抜ける珍しい内野安打となった。不可抗力ながら相手に謝罪する気遣いも見せた。

 昨年10月に発生したハリケーン「ミルトン」によって、レ軍本拠地トロピカーナフィールドの屋根が大破。代わって今季はヤンキースの春季キャンプを行う「スタインブレナーフィールド」をホームとして使用している。入り口は、ヤンキースのロゴマークが掲げられ、その下に小さく「25年のレイズ本拠地」と表記。観客席はドジャースタジアムの5万6000席と比べると、その少なさは一目瞭然。両国国技館と同じ1万1000席で、外野は合わせて計300人ほどしかいなかった。

 外野スタンドも狭く、球場左翼側のすぐ後ろには人工的な池にカモが優雅に泳いでいた。茂みの手入れをしていた球場職員も「この中にはたくさんのボールが入ってるよ」と、頻繁な場外弾を示唆。高温多湿のタンパだが、ベンチには小型のスチーム冷房が数台あるのみ。6回無失点で5勝目を挙げた先発のカーショーも「集中しようとしてたけど、やっぱりスプリングトレーニングっぽさはあった。涼しい環境ではなかった」と苦笑いを浮かべた。

 普段なら本拠、敵地を問わず大谷の打席には1球ごとに声援が飛ぶが、この日は当然それも控えめ。それでも例年この時期はヤ軍傘下1Aが使用して満員となることがほとんどないスタジアムが埋まっただけに、ロバーツ監督も思わず「熱気はすごかった。翔平がプレーする姿を見たい人はたくさんいる。私もお金を払ってでも翔平のプレーを見たいよ」と“大谷効果”を強調した。

 異例の球場も、前々日の体調不良も、大谷にとっては関係なかった。メジャー通算32球場目弾(東京Dを含む)は、2日(同3日)の2戦目以降にお預けとなったが、今季ワースト13打席連続無安打の長いトンネルを抜け、4戦ぶりのマルチヒットもマークした。前々日のレッズ戦で熱中症の影響とみられる「右でん部のけいれん」で緊急降板したが、周囲の不安も払拭(ふっしょく)。

“間借り球場”を攻略し、早くも復調の兆しがのぞいた。(竹内 夏紀)

 ◆折れたバットに関する規則 MLBの「OFFICIAL BASEBALL RULES」、およびNPBの「公認野球規則」の5・09 アウト(a)打者アウト(8)の【原注】に折れたバットに関する規則がある。公認野球規則には「バットの折れた部分がフェア地域に飛び、これに打球が当たったとき、またはバットの折れた部分が走者または野手に当たったときは、プレーはそのまま続けられ、妨害は宣告されない。打球がバットの折れた部分にファウル地域で当たったときは、ファウルボールである。バット全体がフェア地域またはファウル地域に飛んで、プレイを企てている野手(打球を処理しようとしている野手だけでなく、送球を受けようとしている野手も含む)を妨害したときには、故意であったか否かの区別なく、妨害が宣告される」と規定されている。

 ◆レイズの本拠地問題 24年10月9日(日本時間10日未明)、米フロリダ州に上陸した大型ハリケーン「ミルトン」の突風によってレイズ本拠地のトロピカーナフィールドの屋根が大破。28年に完成予定だった総工費13億ドル(約1924億円)の新球場建設計画を断念し、損傷した本拠を26年から再使用するために修復する方針となった。今季はタンパにあるヤンキースのキャンプ地「スタインブレナーフィールド」でホーム戦を開催している。

編集部おすすめ