◆第107回全国高校野球選手権大会第10日 ▽2回戦 東洋大姫路8―4花巻東(15日・甲子園)

 東洋大姫路(兵庫)は花巻東(岩手)に打ち勝ち、14年ぶりの16強となった。

 悪夢を払拭する11球だった。

8―4の9回無死二塁だ。東洋大姫路の阪下漣がリリーフ登板した。右肘のじん帯損傷が判明した今春センバツの壱岐(長崎)との1回戦以来、148日ぶりの公式戦。「楽しみながら、緊張感の中でやれた」。2者連続三振から最後は2球で遊ゴロ。14年ぶりの16強入りにつなげた。

 先発の木下鷹大が8回、花巻東に3点を与えた。4点リードで迎えた9回も、先頭に二塁打を許した。「去年は阪下のおかげで勝った。その部分にかけた、ところがある」と岡田龍生監督(64)。阪下は肘を痛めて以降、対外試合で登板なし。1年秋から「1」を背負い、昨秋の明治神宮大会4強に導いた経験値を信じて起用した。

甲子園全体を包んだ拍手に、右腕は「これだけの皆さんが自分を待っていてくれたのか」と感激の表情だ。

 苦しかった6週間のノースローとリハビリ期間を乗り越え、わずか23球で終えた昨年の聖地での記憶を塗り替えた。「目標は日本一」と阪下。48年ぶりの全国制覇を目指す「夏の東洋」に、ラストピースがそろった。(瀬川 楓花)

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