◆JERA セ・リーグ 巨人0―3阪神(16日・東京ドーム)

 左肘じん帯損傷で離脱していた巨人の岡本和真内野手(29)が16日、阪神戦で102日ぶりに1軍復帰した。長嶋茂雄さんの追悼試合に「4番・三塁」でスタメン出場。

1軍の舞台では2打数無安打、1四球と快音こそ響かなかったが、頼れる主砲がミスターに元気な姿を届けた。

 想像を超える熱量を感じ取り、バットを握る岡本の手に力が宿った。苦難を乗り越えて戻った102日ぶりの1軍の舞台。大歓声の中で、喜びをかみしめながらプレーした。

 「(戻ってこられて)まず良かった。(大歓声が)すごいなと思っていました」

 栄光の背番号「3」のユニホームに身を包んだ。「本当に特別なこと」。ミスターと同じ「4番・三塁」で出場。初回2死一塁で回ってきた1打席目は初球からフルスイングすると、1ストライクから中飛に倒れた。4回2死で冷静に四球を選んで出塁し、7回1死では三ゴロ。「特別な試合で、僕も一発目の試合だったので緊張しました」。復帰初安打はお預けとなるも、はつらつとバットを振った。

 長い道のりだった。5月6日の阪神戦(東京D)の一塁守備で走者と交錯して左肘を負傷。気丈に振る舞い、気持ちを奮い立たせた。「やるしかない」。翌7日には新ジャイアンツ寮を訪れていた松井秀喜氏と偶然、会った。「頑張って、しっかり治してね」。偉大な先輩から直接激励を受けた。励みになった。朝8時からリハビリを行う地道な日々を送り、帰ってきた。

 復帰戦は特別な意味を持つ日だった。「大事な試合だと思っていた」。長嶋さんには昨年5月に素振りを見てもらい打撃不振を抜けたこともある。

リハビリ中に訃報(ふほう)が届き、告別式にも参加した。「スーパースターで、巨人に入ってお会いすることもあって、それはすごい光栄なことだったな、と」。Hランプはともせなかったが、復活した姿を届けた。

 追悼試合は完封負け。それでも主砲が帰ってきたことは大きい。阿部監督は「多少は急いでこの日に合わせてくれたと思う。チームにとっても大きいし、打線が落ち着いて、いい方向に進んでもらえたら」と目尻を下げた。反撃態勢は整った。「勝てたら一番良かった。明日頑張りたい」。心強い男がチームを押し上げる。(宮内 孝太)

◆村田真一Point  やっと和真が帰ってきた。

待ちくたびれたで(笑)。やっぱり、スコアボードの4番目に「岡本」があるだけで打線への期待感がグッと増す。できれば1本出してほしかったけどね。でも、7回のサードゴロも一発と紙一重のタイミングやったし、内容が悪いわけやなかった。それに、相手に与えるプレッシャーが違う。スイスイ投げているように見えた村上も、力の入り方が明らかに違ったもんね。巨人に何かが起きる最低条件は和真が打つこと。戦列を離れていた分、打ちまくって救世主になってほしいよね。(スポーツ報知評論家・村田 真一)

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