◆第107回全国高校野球選手権大会第13日 ▽準々決勝 日大三5―3関東第一(19日・甲子園)

 高い放物線を描いた打球は左翼スタンド中段に消えていった。4―2の5回2死。

日大三の4番・田中諒は「まっすぐで勝負はしてこない。狙って打席に入った」。相手先発・坂本慎太郎の得意球であるカーブを狙い打ち。会心の特大弾に「一番良いスイングができた。今までで一番飛んだ打席」と納得の表情。この一発で流れに乗った日大三が15年ぶりの「東京対決」に勝利した。

 2回戦の豊橋中央戦では8回に決勝ソロを放っており、今大会2本目。昨年春に低反発バット導入後、初の1大会複数本塁打となった。そんな2年生スラッガーは、5月の練習でボールを「運ぶ」感覚を会得。「(バットの)芯を外さず(遠くに)飛んでいく打球が増えた」と手応えをもってこの夏に臨んでいた。

 名門の4番として戦う2年生は、甲子園でも成長が止まらない。「ご飯がおいしくて…」と宿舎内外でステーキや焼き肉などを堪能し、体重は大会前の92キロから97キロへ5キロ増加。

「ちょっと減らしたいなぁ」と笑みを浮かべたが、「体重増加が野球につながっている実感がある」と胸を張った。

 強力打線をけん引する16歳は「しっかりチャンスで1本出るのが4番の役割。自分のスイングをして粘り強くやっていきたい」と力を込めた。頼りになる男がバットでチームを頂点まで導く。(高澤 孝介)

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