◆米大リーグ レッドソックス3―4オリオールズ=延長11回=(19日、米マサチューセッツ州ボストン=フェンウェイパーク)

 オリオールズ・菅野智之投手(35)が19日(日本時間20日)、敵地・レッドソックス戦で5回を投げ、5安打1失点(自責0)。9回に同点に追いつかれ、11勝目は幻と消えたが、巨人時代の2018年の4度を抜き、日米通じて最多となるシーズン5度目の無四球試合を達成。

防御率は3・97と良化し、約2か月ぶりに3点台に突入した。菅野は日米通算300登板の節目で、3回にはけん制回数制限違反(プロ入り初ボーク)で自責のつかない先制点を許したが、6球種を自在に操り、7月10日(同11日)から7試合連続負け知らず(自身4連勝)。「5番・左翼」で先発したレ軍の吉田正尚外野手(32)との「日本人対決」は2打席連続三振に仕留めた菅野に軍配が上がった。

 菅野が、いよいよ“無敵ゾーン”に入った。9回に5番手ヒラルドが同点2ランを浴び、渡米後の自己最長5連勝による11勝目は幻となったが、安定感がさえわたった85球だった。

 「やりたいことができているし、コマンドも良くなってます。スプリットが久しぶりに良かったし、直球もだいぶ機能していた」

 試合開始約2時間前に、正捕手・ラッチマンが右腹筋痛で出場回避。A・ジャクソンとの今季5度目のバッテリーを組んだ菅野。初回、先頭のアンソニーが2球続けて直球を空振り、ファウルした瞬間、センサーが働いた。「(相手は)変化球をイメージしながら、直球を打ちに来ている感じがしたので、(直球の)割合を増やしていった。途中でプランを変えられるのも僕の強み。今日はいい方に転んだと思います」と序盤から路線は明確だった。

 ピンチは3回。無死一塁でアンソニーを併殺狙いの二ゴロに打ち取ったかと思われたが、味方失策で傷口を広げる。2死を奪うも、二、三塁から、2023年に採用された新ルール「けん制回数制限違反」を取られて、先制点を許した(自責なし)。

 「何で今のでボーク取られるの? って感じだった。ルールは知ってたんですけど、あれが3回目っていうのを忘れてました」と渡米後24試合目での初ボーク。在籍12年間で276試合を投げた巨人時代も1度も取られたことがなかったボークを、日米通算300試合登板(298試合先発)の節目に記録する形となったが、逆境にも乱れることはない。

 ストーリーをスイーパーで遊ゴロに。最少失点で切り抜け、以降は内野安打1本と危なげなかった。無四球試合は5月27日(同28日のカージナルス戦)以来13試合ぶり。シーズン5度目の無四球試合となり、巨人時代の2018年の「4」を上回り、自己最多となった。

 「(無四球は)毎試合意識してます。スリーボールからもいい勝負ができた。

ボール2つになっても、いいカウントに持っていけたので」と菅野。レ軍の5番・吉田との「日本人対決」となった第1打席はカウント2―0と劣勢に立ったが、カウントを持ち直し、最後は逃げる球でバットを振らせ、「ああいう勝負ができると幅も広がる」とうなずいた。

 試合は延長戦の末に競り勝ち、同カード2連勝。勝ち星こそつかなかったが、改めて「勝利の陰に菅野あり」を印象づけた。「アイツが投げれば何とか試合に勝てるっていうふうになれば、チームにもプラスですし、僕もそれ以上うれしいことはない」。円熟味を増すオールドルーキーが、最後までチームのために腕を振り続ける。

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