◆報知新聞社主催◇第19回全日本中学野球選手権大会ジャイアンツカップ(12~17日・東京ドームほか)

 旭川大雪ボーイズは17日の決勝で世田谷西リトルシニアに敗れ、初優勝はならなかった。今季はボーイズリーグの全国大会に春夏連続で出場し、9年ぶり出場のジャイアンツカップでは4勝を挙げ、道勢チームの10年ぶりの決勝進出も果たした。

その奮闘ぶりを西大條(にしおおえだ)敏志監督(58)が振り返った。

(取材構成・飯塚 康博)

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  旭川大雪は日本一へあと一歩のところまで迫った。東京ドームで行われた決勝で、世田谷西リトルシニアに0―5で敗戦。先制された3回の2失点、4回の3失点はともに四球と失策絡み。安打数は4つで相手の6つと大差はなかったが、スコアは0を刻んだ。

 「選手たちの気持ちが切れないように声をかけ続けた。できれば先制し、小差で勝負する展開にしたかったが、世田谷西の投手、福田(遊大)君の緩い変化球に、うちの打者は引っかけてしまい、対応しきれないまま終わってしまった。敗れて、選手たちが泣きじゃくっていたのは本気で勝てると思っていたからこそ。たくましさを感じました」

 生命線の投手陣が大舞台へ引き上げた。エースの樽井新太、夏までは1番を背負っていた前田健成(ともに3年)、夏前から頭角を表した神元朔(2年)の右腕トリオ。全員の球速が最速130キロ中盤で、今大会随一の布陣を誇った。

 「今季のチームをつくる上で、昨季より打力は落ちるので投手力を軸とした守備と、足を使った機動力を特長にしようと考えた。

新チームが始まった時は前田がエース格だが、精神的に幼く、樽井は故障がち。2人が心身ともに成長し、そこに神元がプラスされた。決勝も先発の神元が2回まで0点に抑えたり、5回からマウンドに立った樽井も3イニングを0点と要所で踏ん張ってくれた。ここは全国上位にも通用したと思う」

 ここまでの道のりは平坦ではなかった。新チーム発足直後の昨年9月のドリスポカップ秋季北海道大会は3位。3年連続出場となった今年3月の春季全国大会は初戦敗退。直後に雪割りをして遊んでいたナインを見て、指揮官は一喝した。

 「全国大会も行けたし…という緩んだ雰囲気だったので『自分たちで話し合え!』と言った。ドリスポカップも集中力に欠け、なにより勝利への意欲が感じられなかったので『勝ちたいか』『全国に行きたいか』を全員で向き合ってみろと。中学生なので内面が大事。目標設定もそうですし、試合中のプレーでも常に考えるよう、口酸っぱく言い続けました」

 心技体がそろって“大雪旋風”は生まれた。

 「決して特別なことはしていない。

単に打って投げてだけでなく、選手個々の考え方を含めた組み合わせだと思う。北海道のどのチームも全国大会で勝てる可能性は秘めている。そういう舞台に立てるのですから、もっと自信を持つべきです」

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