「夏の自由研究」功労馬は天皇賞・春を制したマイネルキッツ。22歳になり、マイペースで日々を過ごしている。

 名伯楽の記憶に懐かしく残っているG1馬は、22歳になった今も元気に日々を送っている。09年の天皇賞・春を制したマイネルキッツは、23年6月から北海道浦河町にある「うらかわ優駿ビレッジAERU」で功労馬として余生を過ごしている。現役時代に管理した国枝栄調教師(70)=美浦=にとっては、10歳まで計52戦を走り抜いた思い出の一頭だ。

 牧場巡りのついでに国枝師は浦河まで足を運んだそうで、「去年かおととしに会いに行ったけど、“馬耳東風”な感じで、放牧地でのんびりと過ごしていたよ」と、こちらを気にかけない様子に苦笑いしたそうだ。記者が取材した時も、遠くでポツンと青草を食べている姿が多かった。同施設の乗馬課スタッフの古山侑奈さんによれば「基本的に穏やかな性格で、あんまり柵沿いに寄ってこないタイプです」とのこと。国枝師のことを忘れてしまったわけではなく、ひと安心した。

 13年のステイヤーズS(11着)をラストランに現役引退後、ここに来るまでは神奈川県横浜市の根岸競馬記念公苑で乗馬として活躍していた。今も多くのファンが会いに来るとのことで、「根岸で見たり、実際に乗馬で乗った方が、わざわざ会いに来られたりします」と古山さん。最初の頃はナカヤマフェスタ(10年の宝塚記念制覇、凱旋門賞2着馬)と同じ放牧地にいたそうだが、「フェスタが仲良くしようと鼻を突き合わせたりしても、キッツはグイグイこられるのは好きじゃないみたいでした。フェスタがふられ続けてかわいそうだったので、結局は別々の放牧地にしましたが、一頭でも何も気にしなくて大丈夫な子です」と、物静かでマイペースな性格がキッツらしい。

 現役時代に中長距離の大舞台で活躍できたのも、タフネスな肉体はもちろん、長丁場向きの気性の良さのたまものだ。

G1馬の面影について古山さんは「放牧に出る時もルンルンでグイグイと歩いていきますし、毛づやも良く若さを感じますね」と語る。栗毛の丸々とした馬体からも、幸せそうな雰囲気が伝わってきた。(坂本 達洋)

 国枝調教師「自分が母親のタカラカンナもやっていて、だんだん強くなっていってくれた馬で思い入れがありましたし、天皇賞・春を勝った時は非常にうれしかったです。デビュー前からすごくバランスもサイズも良かったので、いい馬だと思っていました。(引退後に会った時の印象は)もうだいぶ年だったけど、もともと気の若い馬ですからね。そんなに体調も崩していなくて、まだまだ元気な感じでした」

 松岡正海騎手(09年の天皇賞・春や10年の日経賞などで勝利に導き、計24戦でコンビを組む)「10年以上前、横浜の根岸にいる時に乗りに行ったことがあります。もとからおとなしい馬で、乗馬らしい穏やかな馬になって皆さんに愛されていました。僕が競馬好きの人と初めて話す時、マイネルキッツの名前はよく出てきますね。元気に過ごしていてほしいです」

 ◆うらかわ優駿ビレッジAERU 馬と自然と触れ合える総合保養施設として1998年4月に北海道浦河町で営業開始。宿泊施設のほか、乗馬体験やパークゴルフ場、ドッグランなどの施設がある。現在はマイネルキッツのほか、ナカヤマフェスタ、スズカフェニックス(07年高松宮記念V)、オウケンブルースリ(08年菊花賞V)の4頭の功労馬がけい養されており、事前予約は不要で見学時間は午前7時30分~午後4時まで。過去には93年の日本ダービー馬ウイニングチケットなどが余生を過ごした。

 ◆マイネルキッツ 父チーフベアハート、母タカラカンナ(父サッカーボーイ)。2003年3月18日、北海道新冠町のビッグレッドファーム生まれのセン22歳。美浦・国枝栄厩舎から05年9月に中山・芝1800メートルの新馬戦でデビュー(6着)。6歳時の09年天皇賞・春でG1初制覇。通算成績は52戦8勝。G11勝を含む重賞3勝(10年日経賞、11年ステイヤーズS)。総獲得賞金は5億5703万8000円。現役時の馬主は(株)サラブレッドクラブ・ラフィアン。

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