◆JERA セ・リーグ 阪神3―4巨人(29日・甲子園

 歓声と悲鳴が交錯する二塁ベース上で、キャベッジが誇らしげに弓矢ポーズを決めた。その指先にいる三塁ベンチのナインが、ベンチのラバーをたたきながら喜びを爆発させた。

「勝ち越すことができてよかったです」。走者一掃の適時二塁打が決勝打。豪快な一振りで勝ち越しに成功した。

 1―1の6回1死満塁。カウント1―2から甘く入った151キロの直球を見逃さなかった。「最低でも犠飛、理想を言えば外野の間を抜ける当たりを打とうと」と、振り抜いた打球は、右翼から左翼へ吹く10メートルの逆風を切り裂いて右中間フェンス最上部に直撃。本塁打まで十数センチに迫る大飛球だった。

 一方、十分に三塁へ到達できた打球で二塁打止まり。阿部監督は「すごく大きい3点でした」と、称賛しつつ「日本の野球をなめるなと。そういう細かいこともできないと日本じゃ成功しないよと、今日は勝ったからこそ言ってあげたい」と、来日1年目の大砲に次の1点を狙うスキのない走塁を求めた。

 夏の甲子園が終わったばかり。遠征先の宿舎や東京Dベンチ裏のテレビで、球児たちの奮闘が目に入ってきた。

米国のテネシー州出身の助っ人は「野球以外のことにも全力で取り組んできた」という初心を思い出していた。

 高校時代は野球とバスケの二刀流。野球では遊撃に加えて87マイル(約140キロ)前後の球速で投手としても名が知られていた。バスケでは「スポーツで一番得意なプレー」というダンクでリングを破壊するなど、身長188センチの肉体に備えた圧倒的な身体能力で活躍。「人生において無駄なことはない」と研さんを積んできた日々が、今につながっている。

 来日自己最長タイの出場6試合連続ヒット。8月中旬には22打席無安打も経験した不振を脱した。「結果にとらわれず、自分のプロセスをしっかりと信頼して、常に全力を尽くすことで、状態が上がってきた」。上昇気流に乗りつつある大砲が、チームに勢いを与えた。(内田 拓希)

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