◆JERA セ・リーグ 中日3―6巨人(7日・バンテリンドーム)

 巨人が中日に快勝し、2カード連続の勝ち越しを決めた。5番を任される岸田行倫捕手(28)が初回に先制二塁打を放つと、同点の5回1死一、二塁から詰まりながらも左前に運ぶ勝ち越し打。

得点圏打率3割8分3厘の勝負強さを発揮した。投げては5回無死満塁から2番手で登板した船迫大雅投手(28)が無安打無失点で切り抜け、反撃の芽を摘んだ。阪神が優勝を決め2年連続リーグVの可能性は消滅。CS第1ステージが本拠開催となる2位死守を目指す。

 しぶとく食らいついた。岸田はくるりと体を回転させて振り抜いた。同点に追いつかれた直後の5回1死一、二塁。「なんとか前に飛ばそうという気持ちだった」。カウント1―2から松葉の133キロカットボールに反応。食い込んでくる軌道で厳しい内角低めを攻められたが、詰まりながら左前に運んだ。執念の一振りで決勝打。チャンスに強い岸田が2連勝の立役者になった。

 驚異的な勝負強さを見せている。初回2死一、二塁では右中間を破る適時二塁打で先制点をもたらした。V打を含む2安打2打点で、得点圏打率は3割8分3厘に上昇。昨季より少ない72試合の出場数ながら、キャリアハイを更新する34打点を挙げている。「積極的に振ることと、前に飛ばして何かことを起こそうという意識」と得点圏でアグレッシブに食らいつく姿勢が好結果を引き寄せている。

 チームとして課題となっていた場所で輝いていることは大きい。岡本の次を打つ打者として9試合連続で先発。高校日本代表でクリーンアップを形成していた同学年コンビが機能している。岡本の後ろという重要なポジションを任されるが「あんまり意識はしていない」と頼もしい。阿部監督も決勝打の岸田について「だからこそ5番に入れてますから。勝負強さを出してくれた」と称賛した。

 尊敬する存在との貴重な時間が後押ししている。

ヤクルト一筋18年マスクをかぶり、監督も務めた古田敦也氏と1月に2年連続で会食する機会に恵まれた。古田氏が父・辰則さんの川西明峰高時代の後輩という縁もあって実現している場で和食に舌鼓。昨年は激励のみだったが、今回は自己最多の出場だった昨季の活躍を「よう頑張った」とねぎらってもらった。うれしかった。「聞いたら教えてくれるので、ありがたかったです」。1軍で多くの経験を積んだことで新たに生まれた捕手としての考え方や打撃について数多く質問。昨年以上に濃い野球談議となった。

 8月25日からの13泊14日の長期遠征は全12試合で先発。連戦を乗り越える秘けつについて「しっかりご飯を食べて寝る」と語る。6日の夜は焼き肉を食べてパワーを蓄え、結果につなげた。同じポジションの甲斐が離脱する状況で、存在感を高め続けている背番号27。攻守の要としてチームを上昇気流へと乗せていく。

(宮内 孝太)

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