高校野球の秋季県大会の組み合わせ抽選会が、8日に行われる。大会は13日に開幕し、40校が出場。

上位3校には、来春のセンバツ出場につながる東海大会出場権が与えられる。県予選を勝ち抜いた39校に加え、今夏の甲子園で初出場初勝利を挙げた聖隷クリストファーが県大会から登場する。注目の2年生エース左腕・高部陸は、2季連続甲子園出場に、無失点投球で貢献することを誓った。

 聖隷の高部にとって来春、再び甲子園のマウンドに戻るための戦いがいよいよ始まる。最速147キロを誇るサウスポーは、「秋は、全て無失点でいきたい」と宣言。チームは県大会で上位進出校としてシードされ、2回戦から登場する。県大会を前に、他校の選手から「打倒・高部」の声が相次ぎ、ターゲットとされている状況にも「負けてられない。レベルの上がった姿で秋を迎えたい」。力強い言葉には、覚悟がにじむ。

 今夏、聖地初戦の明秀学園日立戦(茨城、5〇1)で1失点完投するも、続く2回戦の西日本短大付(福岡、1●2)では、完投したものの8回に勝ち越し打を浴びて敗れた。感じたスタミナ不足を克服するため、走り込みを重点的に取り入れてきた。

 新チームでは、最上級生としての責任感も芽生えている。

「投手陣を引っ張るのも自分、捕手を育てるのも自分次第だと思っている」。バッテリーを組む捕手は上級生だった武智遥士(3年)から同学年の筧優亨(かけひ・ゆうと、2年)に替わった。以前は配球を任せきりだったが、今は練習の中でコミュニケーションを取り、自身の球の特徴を伝えながら、効果的な配球について話し合いを重ねる。

 秋に登板が予想される投手は高部を含め4人。エースは、甲子園で手応えを得た緩い変化球の有効性を仲間に共有。握り方や使い方についても積極的に情報を交換するなど頼もしい。

 全国舞台で高部が特に意識していたのが、沖縄尚学の同じ2年生左腕・末吉良丞だ。優勝した選手権決勝戦の投球も、動画でチェック。笑顔で守備陣を鼓舞する自身とは対照的な、冷静なスタイルにも刺激を受けた。「来年、戦って自分が勝ちたい」。甲子園での対戦を実現させるためにも、全力投球で勝ち上がる。

(伊藤 明日香)

  〇…主将には、岸本悠佑一塁手(2年)が就任した。

新チーム始動時は、違う選手が主将となったが交代。高部とともに有力視されていた岸本が自ら立候補した。「夏にベンチに入りましたが声をもっと出せていればと後悔があった。苦しい場面で先頭で引っ張れる主将になりたい」と話す。本来は投手だが、打撃力もあるため、一塁の守備にも就くようになった。187センチの二刀流は「苦しい場面でも自分たちの野球ができるチーム」の先頭に立つと意気込んでいる。

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