◆セントライト記念追い切り(10日、栗東トレセン)
3日間開催3重賞の追い切りが東西トレセンで行われ、春のG1馬が秋の始動戦に向けた動きを披露。菊花賞トライアルの第79回セントライト記念・G2(15日、中山=3着まで優先出走権)の皐月賞馬ミュージアムマイルを山本理貴記者が「見た」で仕上がりに迫った。
3か月半の休み明けとなるミュージアムマイル。気になるG1馬の仕上がりについて、帰厩当初は緩さが残り、歩様につまずくようなところがあったと聞いて一瞬「えっ」と思った。しかし、「今はしっかり歩けている。ここまで不安なくこられた」と万全を強調する高柳大調教師の言葉と、夏を越して成長した皐月賞馬のひと味違う動きを見て心配は消え去った。
この日の追い切りは栗東・坂路でブルーワール(4歳1勝クラス)を2馬身半追走。ラストまで鞍上の手が動くことはなかったが、パワフルに四肢を回転させてスピードに乗り、53秒9―12秒1で楽々と半馬身先着した。「持ったままでいいフットワークだったし、フォームも良かった。状態はいいと思う」とうなずくトレーナー。約2か月半ぶりだった報知杯弥生賞ディープインパクト記念当時より速い時計の本数は1本少なくとも、久々を感じさせない力強い走りだった。
4着に敗れた弥生賞の最終追い切りは、坂路を単走で57秒5―12秒6。今回は併せ馬だったとはいえ、同じ馬なりでも推進力の違いは見た目からも明らかで「ひと回り体が大きくなり、追い切っても体重が減らなくなった」と高柳大調教師。夏場の休養を挟んで体質面が強化され、動きの質が格段にアップしている。
今回はクラシック初戦を制した中山に舞台が戻り、メンバー唯一のG1馬として臨む。見据える秋の盾へ向け、結果が求められる一戦だ。「中山もいいと思うし、距離も問題ない。天皇賞・秋(11月2日、東京)へいいレースを」と指揮官。久々でも態勢は整った。貫禄の走りで直線を突き抜け、2つ目のタイトルを手にする。(山本 理貴)