◇高校野球秋季静岡県大会 ▽1回戦 星陵3-2浜松南(14日。磐田球場)
開幕し、1回戦8試合が行われた。
一塁ベースに向かいながら「ヨッシャー」と、叫んだ。同点の延長10回無死満塁で星陵・野口がサヨナラ中犠飛だ。「直球一本に絞っていた。打った瞬間、これならと思った」。臨時代走の三塁走者・露木一翔(2年)が生還すると、三塁ベンチから飛び出してきた仲間とホームベース付近で歓喜の輪をつくった。
願ってもない好機に斎藤肇監督(52)から「笑顔で行け」と送り出された。打席に向かった野口は「遠くに飛ばせば、確率的に点が入る」と外角高めを強振。「しっかり芯で捉えられた」と打った瞬間、劇的勝利を確信した。
兄・央雅(おうが)さん(法大3年)は日大三島の「5番・左翼」で2022年に春夏連続甲子園出場した球児。当時、中学生だった弟はアルプスで応援した。「甲子園のすごさに圧倒された」。
足をつりかけながら4回から延長10回まで好投したエース・長谷川瑛太(2年)をバットで援護。「あの回で決めなかったら、交代させるつもりだった」と、指揮官が殊勲の一打を喜んだ。2回戦の相手は名門・静高。「次も活躍して倒したい」と、野口。甲子園常連校を撃破して兄の立った聖地を目指す。(塩沢 武士)
〇…袋井は静清に6-4。最速120キロ前後のトルネード左腕・成瀬大翔(だいと、2年)が8安打4失点完投でチームを2014年以来、11年ぶりに秋の県1勝に導いた。「9回は気を抜いてしまった」と四球からの3失点を猛省したが、打たせて取る投球で2度甲子園出場経験のある静清打線を8回まで1点に抑えた。「左股関節に体重を乗せることを意識するため」今秋から打者に背中を見せるフォームに変更。