◆世界陸上 第6日(18日、国立競技場)

 女子5000メートル予選が行われ、1組に出場した山本有真(積水化学)が世界大会で初の決勝進出を逃した。15分36秒29の18着だった。

序盤は先頭に立ち田中希実(ニューバランス)とともに積極的にレースを進めたが、ペースアップにはついていけなかった。レース後は5着で決勝進出を決めた田中と握手し、抱き合って健闘をたたえ、涙を流した。

 レース後、山本は「自分の理想とする結果ではなかったが、レース内容の前半は攻めていくことができました。田中さんにレース後に声をかけてもらって、自分の中で本当に情けないという気持ちから、少しうれしい気持ちも出てきた」と前向きな表情をみせた。

 「私自身、この舞台で予選通過は、自信があるわけではなく、不安があった中だった」と明かした山本。「その中で前日に田中さんと同じ組であると知った時に、私はどうしても田中さんに予選を通過してほしいと心の底から思いました。パリ五輪の時に同じ組で走らせてもらった時、『ゆまちゃんについていけばよかった』っていうことを言ってくださった」と昨年のパリ五輪では山本が中盤まで独走するも、ともにラストスパート争いにのまれ敗退を経験。

 「もし作っていってほしいペースがあったら言ってくださいっていうのを私から申し出て。そしたら『72秒ぐらいで6周半押してほしい』と言ってくださって。私を頼りにしてくれるのがうれしかったし、自分の掴み取った舞台でもありますから、そのペースで押していけば、自分の自己ベストも狙えたので、自分のためにも、田中さんのためにも。そして、この世界陸上に立ってるのは、田中さんが金栗(記念、4月)でペースを作ってくれたおかげっていうのはありますし、その恩返しがしたくて」と田中への感謝を述べた。

 走り終えた際には田中と抱きあって健闘をたたえた。

「走り終えたら、田中さんが『ゆまちゃんのおかげだ。2人で作ったレースだよ』っていうのを言ってくれて、もうすごく嬉しくて。まだまだ田中さんには追いつけない存在ですが、また来年、アジア大会、世界陸上、オリンピックと続くので、次こそはという強い気持ちで頑張りたい」と言葉に力を込めた。

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