大相撲秋場所6日目(19日、東京・両国国技館)

 大関・琴桜は東前頭4枚目・平戸海に小手投げで白星。豊昇龍を8人が1敗で追う。

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 土俵際の苦し紛れの小手投げでも琴桜には光が差している。平戸海の低い立ち合いを受け止めた時、左足がしっかり踏み込んでいた。右を差して左を抱えた時も棒立ちにならなかった。苦戦の原因になっていた立ち合いの踏み込みの甘さと腰高が解消されつつあると感じた一番だった。本来なら右を差した時に押し返すべきだったが、復活の階段は確実に上っている。

 場所前の二所ノ関一門の連合稽古でのことだった。横綱・大の里との三番稽古でマスコミは「大の里が12勝3敗で琴桜を圧倒」と書いた。はっきり言って数字は関係ない。どこを見ているんだとも言いたい。私には琴桜が立ち合いの踏み込みと前に出る圧力を意識しながら大の里に向かっていった姿が見えた。「立ち合いが大事。相撲の原点を思い出したのかな」とも思った。

5勝1敗。まだ完全復活とはいかないが、強かった琴桜に戻りつつある。(元大関・琴風、スポーツ報知評論家)

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