◆スポーツ報知・記者コラム「両国発」

 入社して25年目。担当は変われど、ずっと現場記者をやらせてもらっている。

そんな長い記者人生で今でも心に留め大事にしている言葉がある。

 「足で稼ぐ記者だな」

 “駆け出し”だった05年から担当していた中日を率いる監督だったのが落合博満氏。監督時代は外部への情報漏えいを徹底的に防ぎ、特にシーズン中は口が重かった。思うような返答を得られない、自分の技量のなさを痛感したものだ。

 そんな落合氏に、一度担当を外れることになった07年オフ。紙面の企画が理由で聞いたことがある。「僕はどんな担当記者ですか?」と。そこで返って来たのが冒頭のコメントだった。

 ご近所への迷惑など考えず、球場への出発前は都内、名古屋市内の自宅前で出待ち。プライベートな時間に押しかけたことも何度もある。だが、怒られた記憶はない。そんな行動を温かく受け入れ、新聞記者としては褒め言葉と受け取れる言葉をかけてくれた。

本当に感謝しかない。

 芸能人やさまざまな競技の選手が、マスコミを介さず個人のSNSでファンに直接、言葉を届ける時代になった。担当している競馬でも、厩(きゅう)舎や騎手がSNSを開設している。だが予想行為は禁止されており、その面では、競馬記者が担う部分はまだ大きいと感じる。まもなく49歳になるが、広大な栗東トレーニングセンター内を若々しく動き回り、的中につながる有益な情報を足で稼ぎ続けたい。(中央競馬担当・戸田 和彦)

 ◆戸田 和彦(とだ・かずひこ) 2001年入社。プロ野球で6度のリーグV、7度の日本一を取材した強運を競馬でも生かしたい。

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