自民党の小泉進次郎農相(44)が20日、都内で党総裁選(22日告示、10月4日投開票)への出馬会見を開いた。「自民党の信頼回復、解党的出直しが必要」と主張。
小泉氏は、物価高対策などの経済政策を優先すると強調。「2030年度までに国内投資135兆円、平均賃金100万円増」をぶち上げ、参院選の自民公約だった一律2万円給付については「実現は難しい」と見解を述べた。国民民主党が主張するガソリン暫定税率廃止、年収の壁引き上げにも意欲。自公連立政権の枠組み拡大には「議論を深める」と前向きな姿勢を見せた。
本命として臨んだ前回の2024年総裁選では、議員票で1位となる75票を集めたものの党員票が伸び悩み、決選投票にすら進めなかった。論戦力の不安から、討論ごとに党員支持を失い続けて失速した。当時の討論会で「私自身、誹謗(ひぼう)中傷をよくされますけども…」とこぼしたこともあった。
その反省からか、この日は徹底した安全運転。いつもの大仰な身ぶり手ぶりも少なく、用意した原稿に時折目を移して、落ち着いた様子で質問に答えた。昨年の総裁選出馬表明時、冒頭30分で計49回放った「改革」の言葉は今回は一度も言わず、「聖域なき規制改革」などのキラーワードも一切なし。前回公約に掲げて批判を浴びた「解雇規制の見直し」や、「選択的夫婦別姓の導入」も、今回発表した政策には入れなかった。
名を捨てて実を取る手法。陣営関係者は「発言への対策は特にしていない」としながら、今後については「農相の職務があり、今回の選挙はそれほど頻繁に表に出ない。そのなかで誹謗中傷もあるでしょうが、そこは党が対策してくれるでしょう」と期待を寄せた。
小泉氏の父・小泉純一郎元首相は、01年の総裁選での「自民党をぶっ壊す」のフレーズが国民から支持され首相に就任し、以降5年にわたる長期政権を築いた。進次郎氏が唱える「解党的出直し」は、言葉尻こそ抑えめながら意味はほぼ同じ。総裁選に勝ち、首相に就任し、自民党を再建したうえで、父のように安定政権を築けるのか。すでに立候補表明会見を開いた茂木敏充氏、小林鷹之氏、林芳正氏、高市早苗氏を含めた5人の戦いは、あす22日にスタートする。
〇…会見では、前回の総裁選出馬会見で物議を醸した男性フリー記者と小泉氏が“再対決”した。
前回は「サミットに出席したら、知的レベルの低さで恥をかくのではないか」と質問されたが、今回は「小泉さんは詐欺師ではないですか。政治を腐敗させ、実権を握っている人が党に残っていて、どうして解党的出直しができるのか」と問いかけられた。
小泉氏は笑いながら「昨年に続きありがとうございます」と返答。「今の論理なら、今回の総裁候補を含めてすべて詐欺師となってしまう」と反論しながら「今の自民党は事実上野党としての立場。
◆自民党総裁選・候補
・高市早苗
・林芳正
・茂木敏充
・小林鷹之
・小泉進次郎