◆第71回オールカマー・G2(9月21日、中山競馬場・芝2200メートル、良)

 中山競馬場で行われた第71回オールカマー・G2は、G1・2勝馬レガレイラ(戸崎)が前走の宝塚記念11着から巻き返してV。2着は兄のドゥラドーレスで、グレード制導入以降初の平地重賞きょうだいワンツーとなった。

 慌てず騒がず、昨年のグランプリホースがG1・2勝を挙げる中山で鮮やかな復活を決めた。3角過ぎから徐々に進出を開始したレガレイラは4角では定石通り進路を外へ。直線では一完歩ごとに推進力を増すと、ライバルをねじ伏せるように力強く加速。最後は上がり最速となる34秒0を繰り出し、懸命に内から抵抗する兄ドゥラドーレスに1馬身1/4差をつけた。初めて背負った57キロも問題なく、きょうだいでのワンツー決着に戸崎は「手応えも良かったし、追ってからの反応も良かった。改めて強さを感じました」と敬礼した。

 スタートで遅れて序盤は後方から。トリッキーな中山では致命傷になりかねないが「意識してポジションを取らず馬のリズムを大事にしていこうと陣営とも話していました」と鞍上。向こう正面で外から2頭が早めに動く出入りの激しい競馬にも動じず、パートナーの末脚を引き出した戸崎の冷静なリードも光った。

 ショッキングな敗戦からきっちりと立て直した。昨年の有馬記念制覇後に右前脚の剥離骨折が判明し、今年初戦となった前走の宝塚記念は11着大敗。当時はプラス10キロだった馬体重に「立派すぎた」と木村調教師。

マイナス6キロとシャープな馬体に戻したここで、威厳を取り戻すことは至上命令だった。レース後に「ほっとしていますし、一緒に勝ててうれしく思います」と鞍上の口からこぼれた言葉は本心だろう。

 それでも陣営に安どの色はない。トレーナーは「駐立の感じや口取りで興奮しているところを見てもまだ馬が自信を取り戻していない」。コースレコードまで0秒1に迫る快走を見せても、まだ上のステージを見据える。

 今後について木村師は「凱旋門賞じゃないです」と笑いを誘い、サンデーレーシングの吉田俊介代表は「天皇賞・秋(11月2日、東京)かエリザベス女王杯(同16日、京都)かジャパンC(同30日、東京)を使って有馬記念へ」とプランを明かす。再び力を示した4歳牝馬がG1戦線を盛り上げる。(石行 佑介)

 ◆レガレイラ 父スワーヴリチャード、母ロカ(父ハービンジャー)。美浦・木村哲也厩舎所属の牝4歳。北海道安平町・ノーザンファームの生産。通算成績は10戦4勝。総獲得賞金は7億215万1000円。

主な勝ち鞍はホープフルS・G1(23年)、有馬記念・G1(24年)。馬主は(有)サンデーレーシング。

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