◆世界陸上 最終日(21日、国立競技場)
今大会のトラック種目の大トリとなる男子400メートルリレー決勝で、小池祐貴(住友電工)、柳田大輝(東洋大)、桐生祥秀(日本生命)、鵜沢飛羽(とわ、JAL)の日本は38秒35の6位で、3大会ぶりのメダルを逃した。今季世界最高タイムの38秒29をたたき出した米国が優勝した。
男子100メートル元日本記録保持者で中京大副部長の青戸慎司さん(58)は「今回、メダルは遠かった」と冷静に指摘。お家芸復活のためには「個々の走力とバトンパスの技術の両方のレベルアップが必要」と期待を込めて語った。
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今回、残念ながらメダルは遠かった。
400メートルリレーでメダルを取るためには、エースは100メートルで決勝に残るくらいの走力が必要です。しかし、日本勢は3人ともに予選敗退でした。
得意とするバトンパスも、もたつきました。3回あるバトンパスのうち、うまく流れたのは3走から4走くらいでした。
日本は予選では8レーンでしたが、決勝では4レーン。コーナーがきつい分、1走(小池)と3走(桐生)のタイムが予選より落ちた(小池は0秒16、桐生は0秒21)。予選をもっと上の順位で通過して、決勝では外側のレーンを取りたいところでした。
雨が降って、さらにコーナーが走りづらくなった。運にも恵まれませんでした。
27年の世界陸上、28年の五輪に向けて、個々の走力とバトンパスの技術の両方をレベルアップする必要があります。
そのためには日本選手権100メートルではレベルの高い争いをした上で上位2~3人は同じ顔ぶれになることが望ましい。リレーメンバー4人中2~3人は固定し、国際大会で経験を積むことができれば、メダルは近づくでしょう。
バトンパスの技術は他国も上がっており、バトンパスを得意とする日本のアドバンテージは減っています。その中で優勝した米国は少々のバトンパスのミスもカバーできる走力がありました。(男子100メートル元日本記録保持者、中京大副部長)