◆日本選手権近畿地区最終予選 ▽3回戦 ミキハウス4―0大阪ガス(23日・わかさスタジアム京都)

 社会人野球・日本選手権大会(10月28日開幕・京セラD)の近畿地区最終予選が行われ、ミキハウスが大阪ガスを破り、2年連続出場に王手をかけた。元巨人の桜井俊貴投手(31)が7安打、125球で完封した。

2試合連続完投勝利で、6月の都市対抗大会近畿地区第2次予選で敗れた相手に雪辱した。27日の第1代表決定戦(淡路佐野運動公園第一野球場)で三菱重工Westと対戦する。

 最後までスコアボードに0を並べた。9回2死、最後の打者をチェンジアップで遊直に打ち取ると、ミキハウス・桜井は勝利をかみしめた。「きょうで全てを出し切る」。125球に全力を注いだ。「いいぞ、いいぞ、俊ちゃん!」。球場内に響く声援が聞こえないほどの集中力で、2試合続けて完投勝ちした。

 6月の都市対抗予選は、まさかの3連敗で5年連続の出場を逃した。「体重が落ちて、調子が悪いまま予選に入ってしまった」。キレを出そうと、予選前に追い込んだ体は、87キロから4キロ減。感覚を取り戻し始めたのは、大阪ガスの補強選手として出場した都市対抗大会(東京D)だった。

ヤマハとの2回戦に先発。3回途中3失点で敗戦投手になったが、「感覚は悪くなかった。反省点を持ち帰ろう」と収穫は多かった。

 チームに戻ると、雰囲気が変わっていた。「慢心があったが、予選で3連敗するチーム。まだまだ強くはない」という陣田匡人監督(46)の言葉で全員が本気になった。「これなら(日本選手権に)行けるなって。自分はもちろん、チームも感じていると思う」と、歯車がかみ合い始めた。

 都市対抗大会予選で敗れた大阪ガスに雪辱。「補強(選手)で行きながらも、(大阪ガスの)打者の傾向は見ていた。味方であり、敵である感じ」。変化球を増やすなど、配球を工夫したことで、昨年の日本選手権1回戦(対ENEOS)以来の完封勝利につながった。

 2年連続の日本選手権出場まであと1勝。「3連勝で日本選手権へ行くことがチームの目標。全力で立ち向かうつもり」と桜井。どん底まで落ちたミキハウスが、鮮やかな復活劇を見せる。(藤田 芽生)

 ◆桜井 俊貴(さくらい・としき)1993年10月21日、神戸市生まれ。31歳。多聞東小4年で野球を始め、多聞東中までは軟式。北須磨では甲子園出場なし。立命大から15年ドラフト1位で巨人に入団。22年限りで引退。23年は巨人スカウト。24年にミキハウス入り。

プロ通算110登板で13勝12敗、防御率5・18。181センチ、87キロ。右投右打。

 ◆ミキハウス入団後の桜井 1年目の昨季からエースで活躍し、社会人2大大会出場を果たした。都市対抗は東京ガスとの1回戦で7回2/3を5失点で敗退も、日本選手権はENEOSとの1回戦で5安打完封。チームを19大会ぶり勝利に導いた。2年目の今季、都市対抗でミキハウスは予選敗退も、大阪ガスの補強選手としてヤマハとの2回戦で先発。2回0/3を5安打3失点で敗戦投手となった。

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