◆米大リーグ ダイヤモンドバックス4―5ドジャース=延長11回=(24日、米アリゾナ州フェニックス=チェースフィールド)

 ドジャースが24日(日本時間25日)、敵地でDバックスを延長11回で振り切り、4年連続地区優勝にマジック1とした。「1番・DH」でフル出場した大谷翔平投手(31)は3試合本塁打なしでトップに3本差。

3年連続本塁打王に黄信号がともった。

 誰しもがプレーボール直後の放物線に見入った。敵地ながら大きく沸いた中堅への大飛球に、大谷ですら思わず足を止めて打球の行方を確認した。打球は中堅フェンスに跳ね返り、昨季の自身最多に並ぶ54号は幻となった。我に返ったように慌てて走り出したが、激走して三塁打。続くベッツの右犠飛で自身143得点目となる先制のホームを踏み、チームを勢いづけた。

 データ上も“ほぼ本塁打”だった。データサイト「Baseball Savant」によると、30球団の本拠地のうち、サク越えできない球場はこの日のチェースフィールド(フェニックス)と、ロッキーズの本拠地・クアーズフィールド(デンバー)の2球場のみ。パヘスが2回に26号2ランを放ったが、その飛距離は395フィート(約120メートル)。大谷はさらに飛んで420フィート(約128メートル)だったが、25フィート(約7・6メートル)ある中堅フェンスを越えるまでには、あとひと伸び足りなかった。

 燃える理由もあった。大谷が1打席目に立つちょうど1時間前。

約3300キロ東のフィラデルフィアではライバルのフィリーズ・シュワバーが本拠地・マーリンズ戦で2発を放ち、56号に伸ばしていた。残り4戦で3本差。本塁打王争いについては「全然何も感じてはないですね」と素っ気なく話していた大谷。昨季1試合3発を放った爆発力はあるが、3年連続のタイトルへ厳しい状況にはなった。

 大谷の視界を占めているのは、目前となった地区優勝、そして30日(日本時間10月1日)からスタートするポストシーズン(PS)だ。タイブレークの無死二塁から始まる延長10回は、先頭で空振り三振に倒れたものの、チームは11回にDバックスを振り切って底力を示した。PSへ上り調子で臨むためにも、ラストスパートをかけてシュワバーを猛追していく。(安藤 宏太)

編集部おすすめ