凱旋門賞・G1(10月5日、フランス・パリロンシャン競馬場・芝2400メートル)

 凱旋門賞で田中博康調教師(39)=美浦=はアロヒアリイを送り込む。新進気鋭のトレーナーが思いをつづる4回連載「輝く王へ」の2回目は挑戦への舞台裏をつづった。

 これまで、海外での出走はレモンポップやレーベンスティールでも結果が出ず、試行錯誤の連続でした。昨年のBCターフのローシャムパークで2着。そして今回のアロヒアリイ。私がゆかりのあるフランスの地で、厩舎として初めて海外の重賞を勝利することができました。知っている人たちがたくさん声をかけてくれました。そういう意味では喜びは他の国で勝つよりも、私のなかでは大きいかもしれません。帯同してサポートしてくれた、同期の的場勇人騎手にも感謝したいですね。

 鈴木オーナーも、憧れていたフランスで重賞初勝利でした。二人そろって、本当にドラマみたいな話ですよね。凱旋門賞が共通の夢であるので、惜しみなく後押ししていただいています。鈴木さんは言動と行動が一致している方です。口では言えても、そこに対する行動っていうのは勇気がいります。

 実は、私の提案としては、絶対日本でも活躍できるから、来年に凱旋門賞に行けるようなプランづくりをしていきませんかという話をしたんです。でも鈴木オーナーは「菊花賞で勝ちました、あるいは勝負になりましたとなったら(行かなかったことに)悔いが残る。だったら凱旋門賞へ行ってもらってかまいません。厩舎にとっても、来年が2度目の挑戦になった方がプラスじゃないですか」と言ってくださった。鈴木オーナーの強い意志が、この舞台に導いてくれました。(JRA調教師)

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