日本が世界に誇る江戸時代の浮世絵師・葛飾北斎の半生を描いた舞台作品「The Life of HOKUSAI」の日本凱旋(がいせん)公演が18日、東京・浅草公会堂で行われた。1日限りの昼夜2公演とも約1000席がほぼ完売。

いずれも拍手喝采が鳴り止まないなかでの終演となり、夜公演の後には海外プロデューサーが登壇し、11月にフランス・パリ郊外で海外公演を行うサプライズが発表された。

 圧倒的な迫真迫力の演技でパフォーミングアーティストのサカクラカツミが北斎を表現した。カーテンコールでは「こんなにたくさんの方々にご覧頂いて、感謝の気持ちでいっぱい」と感激。舞台のエンディングでは、北斎の最後の作品とされる雪積もる富士山に龍が天に飛翔(ひしょう)していく肉筆浮世絵「富士越龍図(ふじこしりゅうず)」を描いて絶命するシーンを熱演。サカクラが「北斎が90歳で描いて亡くなった作品。私はいま62歳。あと28歳。90歳でも(同じシーンを)やりたいので、ぜひ、ここにみなさん、集まってください」と話すと、客席からは再び大きな拍手が沸き起こった。

 北斎の妻・小兎(こと)を元宝塚の男役スター・沙央くらまが務めたことでも話題になった舞台作品。アカペラのシーンでは何度も客席を魅了し、最後のカーテンコールでも美声を再び披露。北斎の三女である応為ことお栄をコンテンポラリーダンサーの加藤花鈴が演じ、太鼓奏者・小林太郎の圧巻の演奏に、薩摩琵琶奏者・鎌田薫水の弦さばきもノンバーバル舞台では重要な役どころになった。

 セリフなし、体の動きと最新鋭プロジェクションマッピングによる映像演出と、日本の伝統的な和楽器演奏を組み合わせた新感覚の舞台は、これまでも欧州で大きな反響を得てきた。

当初はコロナ禍だったこともあり映像作品として世界配信し、英国エジンバラ芸術祭では4つ星を獲得。2022年には内閣府主催のクールジャパン・マッチングアワードを受賞し、翌23年のイタリアのボローニャを皮切りに、世界7か国の芸術祭で公演。言語や文化を超えて多くの観客の共感と感動を呼んできたが、今回、日本での凱旋公演の成功を受けて再び海外公演が決まった形となった。

 フランス・パリでの公演は11月6日(金)で、場所はパリ郊外の文化芸術施設「Centre des Arts(CDA95)」に決定。プロデューサーの杉本伸氏は「かつて北斎の芸術が海を越え、ジャポニズムという大きな波を生み出しました。いま、私たちは舞台芸術という形でその精神を未来へと手渡そうとしています」とコメント。

 さらに「フランスという特別な場所は1867年のパリ万博で初めて出品された日本の浮世絵が話題となり、ゴッホやモネなどの画家に大きな影響を与えた場所でもある。本舞台作品が新たな文化の共鳴を生み、現代における“第二のジャポニズム”の一端を担うことを願っています」と今後のさらなる展開に意欲を示した。

 この日の浅草公会堂の模様は後日、ZAIKOのプラットフォームにて映像配信される。詳細は公式コームページで発表される。

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