ラグビー・リーグワンで2026―27シーズンから適用される新たな選手登録規定で、一部海外出身選手が出場機会を制限され、独占禁止法に違反するとし公正取引委員会に申告したことを受け、リーグの玉塚元一理事長と東海林一専務理事が30日、都内で会見。新たな規定が、一部海外出身選手にとって差別的という声に対して「完全な誤解です」として反論した。

 現行の選手登録区分にはA~Cがあり、日本代表資格を持つ選手は出身地関係なく「A」で登録。だが来季からは「A―1」と「A―2」に分けられ、「A―1」は日本出身や、日本で義務教育期間の6年以上を過ごした選手が対象となる。日本代表キャップ(C)が30以上なら特例が認められるが、日本国籍や代表C(30以下)を持っていても、義務教育期間の条件をクリアできなければ「A―2」の区分となる。日本が史上初めてW杯で8強進出した2019年日本大会代表で、トンガ出身の中島イシレリ(神戸)は「レイシスト(差別主義者)がルールを作ってしまっている」と、強い表現を用いて批判した。

 一部の選手、ファンから「差別的」とされる新たな規定。リーグは「非常に残念」と、その認識を受け止め「きちんと説明ができていなかった。こうした部分は、大きな反省」とした上で「差別というのは、完全な誤解」とした。“誤解”を生んだ要因に、説明不足があったことは認めたリーグワン。波紋を生んでいる日本国籍を持つ選手や、代表キャップ数、義務教育期間の6年以上という条件については、以下のように説明した。 

 ◆日本国籍保有の選手について

 海外出身でも日本国籍を保有している、つまり日本人である選手が「A―2」に区分されることについて、リーグは「選手のカテゴリー区分は、原則として国籍によって定められるものではない」とする。これは国際統括機関ワールドラグビー(WR)にならい、日本代表資格は「日本出生」や「48か月間の協会登録」など「所属協会主義」に基づくもの。国籍保有については「国籍取得に基づく特別措置を講じた場合、チーム間の競争条件の不公平につながる」と説明している。

よって「選手の国籍に基づく特別措置を設けることは、協会の主義と矛盾が生じ、制度上の混乱を招く」としている。

 ◆代表キャップ数30以上の条件

 新規定では、日本代表キャップホルダーに敬意を示しつつ、キャップ30以上を指標の一つとし、新カテゴリーの線引きとした。リーグワン1部のチーム関係者によれば、この協議では1、10、20、30など、保有キャップ数に関する議論は熱を帯びたという。「30」としたことについて、リーグは様々なシミュレーションをした上で「チーム間の競争上の公平性」を担保したと主張。代表キャップを有する選手に関し、チーム間で偏りがあるとした上で「チーム間の公平につながる」そして「バランスを取って」と、30Cとなったと説明した。そして「このような線引きは、制度上必要」と理解を求めた。キャップホルダーについては「制度で十分にカバーできない点については、個人の選手については心苦しいところはある」とした。

 ◆義務教育期間のうち6年以上の条件

 19年W杯で「具くん」としてブレークした、プロップ具智元(神戸)は中学2年に来日。新規定では、義務教育期間に日本滞在「6年以上」が条件で、具は対象外の「A―2」区分となる。リーグは「ホームグロウン」の正当性を主張。同制度は、サッカーJリーグでは、特定のJクラブに登録された「育成期間の合計日数が990日(Jリーグの3シーズンに相当する期間)以上」である選手を指す。リーグは、ラグビー界の「ホームグロウン」について、フランス1部のトップ14を例に「事例はある」とした上で、義務教育期間を適用した例については「リーグワンが定めた」と説明した。

「今後、検討の余地がある」としつつ、国内のラグビー人口減少を止める施策の一つとして大義名分を掲げている。玉塚理事長は「ホームグロウンの選手がもっと活躍するようになる。『地元のクラブ、中学であの人はやっていたんだよ』という人たちが国籍関係なく、活躍する流れを作っておかないと、非常に(今後)厳しい」と語った。

 リーグワン所属チームや選手会と協議を重ねてきたリーグワンだが「選手会は、全選手が加盟している訳でもないというところもあった」と弁明した。コミュニケーション不足や説明不足が「反省事項」としつつ、新規定については従来の方針通りとする。長期的な視点に立ち、正当性を主張するリーグワン。「5年、10年と見ると、一部の制度変更はやった方がいいというのはラグビー界のコンセンサス(同意)」とした。

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