日本テレビを3月末に退社し、この4月からフリーに転身した岩田絵里奈アナウンサー(30)が、新たな道を進んでいる。8年間自身を育ててくれた古巣に「日本一の会社」と愛情を示しつつも、局アナ時代に味わった“痛み”を通して「成長痛を感じたい」と挑戦することを自らに課した。

30歳の節目の決心。感謝と恩返しの心を胸に、日々の仕事に向き合っている。(宮路 美穂)

 愛くるしい表情と飾らないキャラクター。「切りすぎた前髪が…」とおでこを触るしぐさがなんともチャーミングだ。

 この春からフリーアナウンサーとして新たな一歩を踏み出した。「3月末は結構不安だったんです。送別会もたくさん開いてもらって『私はこの温かい環境から飛び出すのか…』と少しブルーになって。でも、いざ4月になってみたら、毎回違う現場、知らない方、知らない場所っていうのがけっこう刺激的で。それを楽しめているかな、と思います」と環境の変化もしなやかに受け止めている。

 初仕事は退社の2日後、日テレのバラエティー番組の収録だった。「盛大に送り出してもらった2日後だったので…。ちょっと気まずかった」と照れ笑いしつつ「出演者も制作のメンバーも知っている人たちだったので、リラックスしながら始められた」と振り返った。

「私は古巣が本当に大好き。今でも日本一の会社だと思っている」と愛着を語る。

 なぜ「日本一の会社」を飛び出そうと思ったのか。キーワードは「痛み」だった。「30歳になったタイミングで自分自身と向き合った時、思い出したのは『スッキリ』時代にすごく苦しかったことでした」。4年目の2021年、水卜麻美アナのバトンを受けてサブMCを2年間務め、MCの加藤浩次とタッグを組んだ。「水卜さん、(近藤)春菜さんから代わって、25歳の私がポンと入った。それまでもいろんな番組をやってきましたが、『スッキリ』はアナウンサーに求められるスキルのようなものが圧倒的に高い番組だったんです」

 妥協を許さない加藤は畏怖の存在だった。「加藤さんは台本通りには進めない。資料には載っていない難しいデータも急に聞かれますし、議論のレベルも本当に高くて。自分が原稿を読んだとして、データとか内容とかも含めて自分の言葉に責任を持つみたいなことを学びました」。四苦八苦しながら生放送を終えても、SNSの「あの子何?」「前のほうが良かった」といった声でさらに追い詰められた。

「コロナ禍だったので、対面でお声を頂くことがない。マイナスなコメントばかりが目に入ってきて、食らっていましたね…」

 当時は本当に苦しい2年間だった。しかし番組が終わり、客観的に振り返ってみると、かけがえのない時間だったことに気づいた。「毎日本当にしんどかったです。でも、人間的にもアナウンサー的にもすごく成長したのはあの2年があったからこそ。あの2年間は絶対に必要な“成長痛”だった」と表現する。

 「スッキリ」以降も、日テレのホープアナとして数々の人気番組に出演。「仕事は楽しかったんです。でも自分は環境に甘えちゃうタイプなんで、険しいところに自分で自分を放り出して、もう一度、苦しい環境に置いて成長痛を感じたい。あの2年間の苦しさを、この先の人生でも味わった方が人として成長できる、という一心で(フリーに)挑戦しようと思いました」

 先輩たちも背中を押してくれた。「スッキリ」時代に運命共同体だった森圭介アナには「17歳離れてるんですけど、戦友のような意識を勝手に持たせていただいてるので、結構序盤で相談しました」と言い「森さんは私の可能性みたいなものをずっと信じてくれている人で『絶対にやりたいことをやった方がいい』と言ってくれました」。水卜アナにも退社を報告すると「手をギュッと握って、目を見て『あなたなら絶対大丈夫だから』って言ってくれた。

ちょうど不安だった3月末、その言葉がすごく支えになりました」

 在籍していた8年間、感謝しているのは「『アナウンサーらしく』という型の中で育てられなかったこと」だという。「そもそもの個性とか、その人の性格みたいなものを大事に育ててくれた。よくSNSのコメントで見る『アナウンサーらしい』『アナウンサーらしくない』ってそもそも誰が決めているんだろうとは思いますが…。それでも、原稿を上手に読むだけじゃなくて、個性のある一人の人間として育ててもらったからこそ、この4月以降も自分らしくいられているんだと感じます」

 岩田アナは、退社後の4月以降も日テレでのレギュラーとして「世界まる見え!テレビ特捜部」(月曜・後8時)の出演が続く。入社1年目から務めている、自身の歩みとともにある番組。「決断を応援してくれて、その応援の形として『まる見え』を残してくれたことが本当にうれしかった。余計に頑張らなきゃいけないと思いましたし、その恩を返すためにもちゃんと他の仕事でも結果を残して、還元したいなと思いました」と腹が決まった。

 喜びも苦しみも痛みも、岩田アナの人生にとって無駄なものはなかった。「つらいことを乗り越えたから見えた景色もありましたし、今まで起こってきたどんな事象も、ちゃんと伏線回収できているいい人生だと思っています」。30歳の節目で進む冒険。「引き出しが増えることはなんでも取り組みたい。ただ、アナウンサーという仕事である以上、司会・進行というのはまたいつか戻ってきたいというのは(軸の)一本ではありますね」。

感謝の思いを胸に抱きながら、未知なる道へ歩みを進めていく。

 ◆岩田 絵里奈(いわた・えりな)1995年8月30日、東京都生まれ。30歳。慶大文学部卒業後の2018年に日本テレビに入社。同局の「シューイチ」「沸騰ワード10」「スッキリ」などにレギュラー出演した。26年3月末で退社。趣味はカードマジック。4月から芸能事務所「テイクオフ」に所属。特技はものまねで、レパートリーは15種類ほど。

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