◆JERAセ・リーグ ヤクルト0―2巨人(19日・いわき)

 待ちに待った1勝だ。巨人の戸郷翔征投手(26)が今季3度目の先発で初白星を手にした。

不振にもがき、開幕ローテからも外れた男が、首位ヤクルトを7回5安打無失点。24年7月以来、阿部政権下では最長タイとなる7連勝に導いた。打線は、平山功太内野手(22)が自身初の初回先頭打者本塁打を放つなど、立ち上がりの速攻で2点を援護。巨人は福島・いわきでは16年ぶりの勝利を挙げて貯金を今季最多の6とし、首位に1・5差に迫った。

 2軍での調整中だった。トレーナールームで治療を受けている際に聞こえたある選手の言葉が引っかかった。「今日は治療いいや! 何やってもまたけがするし…。だから今日はもう治療しなくていいかな」―。故障によって大好きな野球ができずに苦しむ選手の本音が戸郷の胸に刺さった。

 「僕はこれまで大きなけがをしたり、ボールを投げられなかった期間はなかったから」。悩みながらではあるが、野球に打ち込めている今は恵まれているんだと感じた。その一方で「『この子を治したい!』って考えてくださるトレーナーさんの気持ちを考えたらそんなこと言ったらダメ」と、胸を痛めた。

 戸郷から気遣いの言葉をかけられた種田貴績トレーナーは語る。「長期のリハビリとなると心が廃れていくこともある。ただ彼みたいに僕らをわかってくれる人がいるのはうれしい」。マウンドに立てているのは自分一人の力ではない。“空白”の時間に、戸郷は改めてそれを知った。(水上 智恵)

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