◆サッカー北中米W杯▽1次リーグF組第3戦 日本1―1スウェーデン(25日、ダラス競技場)

 サッカーW杯3大会に出場した元日本代表FWの岡崎慎司氏(現ドイツ6部バサラマインツ監督)が、スポーツ報知の特別評論「慎髄(しんずい)」を寄稿した。日本(FIFAランク18位)がスウェーデン(同38位)に1―1で引き分け、1次リーグF組を2位で突破した一戦を総括。

ボランチとして攻守で奮闘したMF田中碧(リーズ)をMVPに選出し「攻守でここまでやれると思っていなかったので、驚きがあった。佐野海舟鎌田大地と高い能力でやれるボランチが3枚いるのは大きな武器」と太鼓判を押した。

 日本とスウェーデンは、お互いに引き分けでもいいという認識があったと思う。試合の入りは、前半から引き分けOKでチャンスがあれば点を取りに行くというスタンス。特にスウェーデンは、負ければ敗退の可能性もあっただけに試合の進め方が難しかったと思う。基本的には無理をせず、プレスが来たらロングボールという感じで、決め事をしてやっていたように見えた。

 スウェーデンはイサクがそこまでサイドに張らず、だいぶ(センターFWの)ヨケレスに寄る感じの“変則2トップ”みたいな感じに見えた。ロングボールに対して、2人もそこまでヘディングが強いわけではないので、むしろ日本がヘディングで勝って、セカンドボールを拾えていた。イサクもハードワークをそんなにしないので緩い感じに見えたし、不気味な感じではあった。

 日本は、相手が間延びするところでしっかりセカンドボールを拾えていた。日本が優勢に進めていたけど、たまにイサクが前線に残って、こぼれ球からシュートを打つシーンが単発的にあったけど、日本はプレスがかかってる状態では強い。失点したシーンは相手にプレスに行けない時間帯が長かった時にやられてしまった。

オランダ戦でシュメルビルに決められた2失点目に少し似ていた。エランガに1人が出てもいいと思うけど、待ってしまった。

 先制ゴールは、前田大然が何度か裏の抜け出しをしている中でギャップをついた。チュニジア戦の伊東純也のゴールもそうだけど、サイドにパスを出して、サイドからFWに当てて落としてチャンスメイクした。チュニジア戦はCBからFWにパスを出して、2列目が飛び出す形だった。サイドからと、中央からフリックみたいなのはけっこう練習してるのかなと感じた。

 森保一監督は、昔からそういうサッカーをする印象があった。ダイレクトでパスを入れて、入っていくみたいな攻撃は、サンフレッチェ広島でも好きだったような気がする。選手たちもそのイメージが具体的にあると思う。ある程度、固定の選手たちでこの1年間くらいはやってる印象はあるけど、今は代表期間としては一番番長く一緒にいて、成熟されてきている。サイドからパスをダイレクトで落として、裏抜けみたいな。全然パスが通っていないパターンも試合の中ではいっぱいあるけど、堂安が張ってる時はダイレクトで入れたりとか。

菅原は右利きなので1回中に持って、左足や右足でFWに入れるみたいな。あのケースは、すごくイメージをみんなで共有している感じがする。

 右サイドの菅原が斜めに、FWや中央に入れるパスに逆サイドの前田が反応するシーンもけっこうあった。裏を狙っている選手に対して、DFがインターセプトを狙いに行くのは難しい。だから、あれをけっこう入れてて、あそこで落として、中央にランニングするのは、あの出し入れがないと生まれない。相手がついていきずらいだろうなって思った。相手のDFが少し混乱するような、パスの連携で崩せたと思う。

 この試合のMVPを挙げるのは難しい。GK鈴木彩艶と言いたいところだけど、田中をMVPに選びたい。個人的には、田中はもっと前めのポジションでプレーする印象があった。攻守でここまでやれると思っていなかったので、驚きがあった。守備して前にも上がっていける。

所属するイングランド・プレミアリーグのリーズで苦しい時期を乗り越えて、ラスト1~2か月で追い上げて試合に出だした。全く出られない時期があって、見返したい気持ちもあったと思う。自分はもっとできるみたいな、感情を出せる選手だなって思う。

 プレミアリーグで三苫薫、遠藤航とけがをしている中で、田中が頑張ってやってきてたことがW杯で出ている。個人的にもプレミアリーグで試合に出る大変さも知っているので、そこでやってる田中のパフォーマンスがここまで高いのはめちゃくちゃ良い。

 守備でボール奪う、パスワークで攻撃を組み立てる。両方の役割ができる。今大会の日本のボランチは佐野海舟ありきだと思っていたけど、海舟と変わらないくらい守備でも目立っていた。代えが利かないと思っていたけど、鎌田を含めて同じくらい高い能力でやれるボランチが3枚いるのは大きな武器。ボランチは本当に大事。鎌田も代えが利かない中で、疲れてくるだろうけど、チュニジア戦の海舟と田中のコンビも良かった。1次リーグで着々と試せて良かった。

 今日の田中、鎌田の2ボランチは良かった。2人がいるのといないのとでは落ち着き方が違う。2人とも前にポジションが取れる。海舟は守備に重きを置くタイプなので、ポジション取りのセンスや立ち方は田中や鎌田の方がうまい。後ろで構えてインターンシップとして持ち上がるのは海舟が得意だけど、もう少し高い位置に入って相手の間で受けるタイプではない。田中は後ろでもらえるし、鎌田と同様にシャドーできる。ボランチよりもう1つ高い位置に置いてもできる選手が2人いると、相手は捕まえづらいですね。

 ◆岡崎 慎司(おかざき・しんじ) 1986年4月16日、兵庫県生まれ。40歳。滝川二高から2005年にJ1清水入り。11年にドイツ1部シュツットガルトに移籍。同マインツを経て15年夏に英プレミアリーグのレスターに移籍し、15―16年シーズンにクラブ初のリーグ優勝に貢献した。

欧州4か国でプレーし、24年シントトロイデン(ベルギー)で現役引退。日本代表通算119試合出場、歴代3位の50得点。W杯は10年南アフリカ、14年ブラジル、18年ロシア大会に出場。南ア大会のデンマーク戦、ブラジル大会のコロンビア戦で得点を挙げた。

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