◆第108回全国高校野球選手権大会第5日 ▽1回戦 鳴門渦潮2X―1八王子実践=延長10回タイブレーク=(9日・甲子園

 泣き顔もいい顔だった。サヨナラ負けの選手通路。

開会式の選手宣誓に「高校球児はいい顔をして野球をしよう」というフレーズを織り込んだ八王子実践(西東京)・矢沢陵磨主将(3年)は涙、涙…。ナインからは「いい顔しよう」と声が上がっていた。

 粘りは見せた。1点を追う9回2死一、二塁。代打・金子侑樹(3年)の右前適時打で同点に。その裏、林蒼太(3年)の一ゴロを捕球した山本悠生(3年)がベースカバーに入った塚原翔太(3年)にトス。セーフの判定も河本ロバート監督(40)はビデオ検証を求め、判定が覆ってアウトに。「使うべきところでした。流れが変わったかと思いましたが、勝負の難しいところでした」と河本監督。延長タイブレークの10回、2死満塁の好機をつくるも得点ならず。一人で投げきった塚原が最後に力尽きた。

 学校創立100周年での初出場。

三塁側アルプス席には地元の八王子などから約1500人が駆けつけ、ナインを後押し。河本監督は「本当にありがたかったです。負けてしまったのですが、すごく楽しく、いい顔をしてやれたと思います」と選手をたたえた。この日は恩田宣男部長の60歳の誕生日だったが、白星を贈れず。「誕生日プレゼントという形で私も生徒も全力でその気になっていたのですが…」と悔しがった。

 同校は全国優勝の経験がある女子バレー部が有名だが、硬式野球部は専用球場も寮もなく、選手の多くが八王子近隣の出身。米マイナーリーグでのプレー経験もある河本監督の指導の下、力をつけて日大三、東海大菅生、早実といった強豪がひしめく西東京大会を勝ち抜いてきた。「選手のおかげで初めて甲子園に来させてもらえたので、空気感も、あの雰囲気も体験できました。勉強じゃなかったことがなかったと言いますか、全てが勉強になりました」と河本監督。いい顔をして再びの聖地を目指す。

 ◆河本ロバート 1986年1月30日生まれ。40歳。

高校から本格的に野球を始め、八王子実践でプレー。亜大では最速152キロを計測。2008年にドジャースとマイナー契約。その後、独立リーグなどでプレーし、14年に現役引退。16年からコーチとして八王子実践を指導し、19年に監督に就任した。

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