◆第108回全国高校野球選手権大会第5日 ▽1回戦  鳴門渦潮2X―1八王子実践=延長10回タイブレーク=(9日・甲子園

 春夏通じて初出場の八王子実践(西東京)は、9回2死から追いつく粘りを見せたが、延長10回タイブレークの死闘の末に力尽きた。元ドジャースマイナーで157キロ右腕だった河本ロバート監督が率いて学校創立100周年の節目で初めて聖地に立ったが、勝利の校歌を響かせることはできなかった。

 待ちに待った打席だった。試合終盤、ベンチ裏でバットを振り、出番を待っていた金子侑樹(3年)は9回2死一、二塁の好機に「次は私ですか」。ロバート監督に代打をアピールした。「これ、打ったらヒーローだな」と、自信を持って打席へ。フルカウントから右前適時打を放った。「これ、絶対1点入ったなという気持ち。ようやくチームに貢献できて、とてもうれしかった」と負けても涙は見せなかった。

 もともとは投手だったが、昨秋にベンチ入りできなかったことと、今春からDH制が始まることを考慮し、打撃に専念することを決めた。「どうしてもピッチャーをやりたいという気持ちよりかは、出て活躍したい」。その思いで、冬には体づくりのためにウェートトレーニングに励んだ。その成果を同校野球部が開催した「ボディービル大会」で披露。ベンチプレスは110キロを上げるなど、チーム内でも群を抜いて数値を伸ばした。

 常総学院OBである父・正章さんは、1989年夏に甲子園出場を果たした(88年夏はベンチ外)。試合前には「とにかく楽しんでこい。あとは自分のやってきたことをしっかり出すだけ」と声をかけられたという。その言葉通りに、体格の良い代打のひと振りが、球場を沸かせた。

 金子は「八王子実践で野球ができて、夏に甲子園に行けたというのは、やっぱりとてもうれしかった。ロバート監督やコーチ陣に出会えて、ご縁に感謝したい」と高校野球人生を振り返った。

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