◆プロボクシング ▽スーパーフェザー級(58・9キロ以下)4回戦 〇宇梶哩惟河(3回TKO)多田太郎●(10月3日、東京・後楽園ホール)

 元帝拳ジム・トレーナーの葛西裕一氏(56)が会長を務めるGLOVESジムが、ジム初陣を勝利で飾った。元甲子園球児の宇梶哩惟河(りいが、19)=GLOVES=が多田太郎(27)=FUNABASHI E―BOX=とのプロデビュー戦に臨み、3回TKO勝利。

葛西会長は「100点。練習でも見たことがない相打ちを大一番でできるのは、いいセンスですよ」とジムの船出に100点満点を与えた。

 2回、左フックからの右ストレートでダウンを先取した宇梶。しかし再開後、右ストレート2発を浴び、ダウンを奪い返された。3回は互いに譲らぬ激しい打撃戦を展開。終了間際に宇梶が打ち下ろしの右ストレートを打ち抜き2度目のダウンを奪い、レフェリーが試合をストップした。宇梶は「気持ちが少し弱くなりそうになっていたが、気持ちでは負けない、打ち負けないという気持ちで最後はやりました」と勝利の喜びをかみしめた。

 野球で培った「負けず嫌い」が、最後の一撃を生んだ。福島の名門・学法石川高で内野手として活躍。24年センバツに出場した。健大高崎高からドラフト1位でロッテに入団した最速158キロ右腕・石垣元気投手(19)から、練習試合でヒットを打ったこともある。「負けず嫌いで、練習も人一倍やりました」。

プロのリングでも、その気質は変わらなかった。

 高校で野球は引退し、昨年春、日大に進学。ボクシングは未経験だったが、「もともとボクシングが好きで、大学に入ったらやろうかなと思っていた」と昨夏、GLOVESジムに入門。今年4月、プロテストに合格し、ボクシング歴1年2か月でデビュー戦のリングに上がった。

 葛西会長は前日の計量後、自身が現役時代、世界戦前に飲んでいた特製スッポンスープを作り、愛弟子のデビュー戦を後押しした。「100点」の白星を挙げたジム生え抜きのプロ第1号に「ド根性がある。反射神経でよく頑張ってくれました」と目を細めた。

 葛西会長は、現役時代は帝拳ジムに所属し日本、東洋太平洋スーパーバンタム級王座を獲得。3度の世界挑戦も経験した。引退後は帝拳ジムトレーナーとして西岡利晃、三浦隆司、五十嵐俊幸、下田昭文の4人の世界王者を育てた。2017年にアマチュア専門のジムとして「GLOVES」(東京・世田谷区用賀)をオープン。昨年5月にプロ加盟し、8年ぶりにプロボクシング界に復帰。

古巣・帝拳ジムの那須川天心(28)の指導も担当している。

 宇梶は来年の新人王にエントリーする予定だという。葛西会長率いるGLOVESジムの歴史は、19歳のド根性とともに幕を開けた。

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