今週は、日米主要指数が最高値を更新するなど強い動きが目立ち、AI・ハイテク関連銘柄への期待が相場をけん引しています。今後は米「ハイパースケーラー」の決算が注目されますが、一段高も期待できる一方、楽観シナリオを覆しかねない懸念材料もくすぶっています。
強い動きが目立っている国内外の株式市場
今週の株式市場ですが、国内外を問わず強い動きが目立っています。
<図1>国内外主要株価指数のパフォーマンス比較(2025年末を100)(2026年4月16日時点)※欧米市場は2026年4月15日時点
図1は、昨年(2025年末)を100とした、国内外の主要株価指数のパフォーマンスを比較したものです。
4月以降、全ての株価指数が上昇基調をたどっていることが確認できますが、もう少し細かく見ていくと、15日(水)の取引で、米S&P500種指数やナスダック総合指数が最高値を更新してきたほか、日経平均株価も16日(木)の取引で最高値を更新しています。
さらに、東証株価指数(TOPIX)とダウ工業株30種平均についても、最高値には届いていないものの、中東情勢が戦闘状態になる前の株価水準を上回っています。
確かに、3月の株式市場を押し下げた中東情勢に対する不透明感は、現在も払拭(ふっしょく)されているわけではありませんが、足元でポジティブな期待(米国とイランの和平交渉再開など)が先行していることや、本格化し始めた企業決算を好感する動き、そして、AI・ハイテク関連銘柄への物色などが株高に反映されているといえます。
<図2>米主要株価指数のパフォーマンス比較(2025年末を100)(2026年4月15日時点)
また、図2は、昨年末を100とした米主要株価指数のパフォーマンスの比較です。3月末時点で最もパフォーマンスが良くなかったナスダック総合指数が、直近でNYダウやS&P500を上回ってきたことや、半導体関連銘柄で構成されるSOX指数が急上昇している様子が読み取れます。グロース株優位の中でAI関連やハイテク関連株がとりわけ強かったことが分かります。
再来週の「ハイパースケーラー」決算で一段高の可能性も
そのため、こうした株高基調がまだまだ続く可能性があるのかについては、AI・ハイテク関連株の動きがカギを握ることになりそうです。
中でも注目されそうなのが、再来週(2026年4月27日~5月1日週)に予定されている、米「ハイパースケーラー」銘柄の決算です。
まずは、米国株市場の中心となっている、いわゆる「M7(マグニフィセント・セブン)」銘柄の決算スケジュール(日本時間)を確認すると以下の通りとなっています。
4月23日(木): テスラ(TSLA)
4月30日(木): マイクロソフト(MSFT) 、 メタ・プラットフォームズ(META) 、アルファベット( GOOGL 、 GOOG )、 アマゾン・ドット・コム(AMZN)
5月1日(金): アップル(AAPL)
5月21日(木): エヌビディア(NVDA)
その中で、マイクロソフト、メタ・プラットフォームズ、アルファベット、アマゾン、エヌビディアの5銘柄は、AI開発やデータセンターに積極的に投資を行う「ハイパースケーラー」と呼ばれており、うち4銘柄が再来週に決算を発表します。
これらの銘柄の株価は昨年(2025年)までのAI相場をけん引していましたが、「巨額の(AI)投資額に見合った収益を得ている段階でない」として、2026年に入ってからは伸び悩んでいました。
<図3>米「M7(マグニフィセント・セブン)」銘柄のパフォーマンス比較(2025年末を100)(2026年4月15日時点)
ただ、図3を見ても分かるように、足元で復調傾向を見せています。
3月末の下落基調の中で、調整の一巡感や値ごろ感が出始めていたことも買いを促した面がありそうですが、実際のところはどうなのでしょうか?
それを探る指標として、「PEGレシオ」というのがあります。PEGレシオについては、昨年(2025年)11月21日付レポートでも解説していますが、株価収益率(PER)を利益成長率で割ったもので、「PERに見合った利益を生み出しているか?」という視点で株価の割高感を探る指標になります。
2025年11月21日: エヌビディア好決算でAI相場「第2幕」は来るか?(土信田雅之)
ちなみに、当時のレポートで紹介していたハイパースケーラーのPEGレシオと、現在のPEGレシオを比較すると図4の通りです。
<図4>米ハイパースケーラーのPEGレシオ比較(2025年11月19日と2026年4月15日)
直近のアルファベットのPEGレシオが2倍を超えており、割高感がありますが、他の銘柄については、4月からの株価上昇を踏まえてもおおむね適正水準と見なされる数値となっており、決算で利益見通しが上方修正されれば、素直に株価が上昇しやすい状況と思われます。
その一方で、最近までのAI相場を支えてきたのが、半導体関連やメモリー関連銘柄です。
<図5>主な半導体・メモリー関連銘柄のパフォーマンス比較(2025年末を100)(2026年4月15日時点)
図5は、半導体・メモリー関連銘柄のパフォーマンス比較ですが、左側の目盛を見ても分かるように、多くの銘柄が2026年に入ってからかなりの上昇を見せています。
「ハイパースケーラーはまだ本格的に稼げていないが、AI投資が続いている以上、実需に基づく恩恵を受けそうな銘柄は買える」というロジックです。
そのため、再来週のハイパースケーラーの決算で、今後も旺盛なAI投資が見込まれることが確認できれば、もう一段階の株高もあり得そうです。
反対に、決算でAI投資の減速が示されてしまうと、実需の縮小を織り込む格好で、株価が反落していく展開を想定する必要が出てきます。
中東情勢に対する楽観シナリオの「ちゃぶ台返し」もあり得る
また、楽観シナリオが強まりつつある中東情勢ですが、簡単に状況がひっくり返ってしまうリスクは依然としてくすぶっていると考えておいた方が良さそうです。
確かに、米国とイランの和平交渉が再開され、短期間で合意に至る期待が高まってはいるものの、戦争から和平へのプロセスを歴史的に見ていくと、軍事衝突を経て優劣が決した状態で臨む交渉では、戦勝国が有利な条件をのませて合意に達することが可能ですが、明確な優劣が出ていない場合の和平交渉では、基本的に双方が譲歩し、「痛み分け」で折り合えるかどうかが焦点になってきます。
今回の米国とイランの交渉については、合意の条件でお互いの主張がぶつかりあっている状況となっているため、譲歩のハードルが高いこと、そして、交渉が難航して決裂または長期化してしまうことや、少しでも有利な条件を受け入れさせるために圧力をかけたり(米国によるホルムズ海峡の逆封鎖など)、再び戦闘が始まってしまうことも考えられ、足元の株式市場が見ているほど事態は甘くないかもしれません。
もちろん、「痛み分け」で折り合える可能性はありますが、その場合、米トランプ政権にとっては得るものが少なく、11月の中間選挙に向けて、トランプ米大統領が今後の支持率アップのために、中東地域以外の外交分野(もしくは内政や関税など)で何かを仕掛けてくることも考えられます。
「供給網リスク」も決算シーズンのポイントに
さらに、企業決算では、こうした中東情勢の影響がどこまで出ている、もしくは出てきそうかも注目ポイントになります。
仮に、資源価格上昇によるコスト増だけでなく、資源の調達が困難となって、生産体制にも影響が出始めてしまうような事例や見通しが増えてしまうと、「供給網リスク」が意識され、景気や企業業績の減速懸念へとつながって、株式市場が再び下落基調をたどってしまうことも考えられます。
そのため、先ほども見てきたような、足元の株高をけん引している銘柄以外の企業決算の動向もウオッチする必要がありそうです。
相場格言では、「(株価は)不安の崖を登っていく」というのがありますが、さらなる株価指数上昇の可能性が高い半面、「株高が示すほど相場が強くないかもしれない」という意識も持っておいた方が良いのかもしれません。
(土信田 雅之)

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