ASMLホールディングの2026年12月期1Qは、13.2%増収、15.3%営業増益。EUV露光装置が業績を牽引。

会社側は今期、来期とEVP露光装置の大幅増加を予想。先端ロジック向けに加え、HBM、汎用DRAM向けの増加が予想される。大手メモリメーカーはEUV露光装置を大量導入して生産性を改善する目論見か。楽天証券の目標株価を引き上げる。


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決算レポート:ASMLホールディング(メモリ向けEUV露光装置が増加)
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本レポートに掲載した銘柄: ASMLホールディング(ASML、アムステルダム、NASDAQ)


1.ASMLホールディングの2026年12月期1Qは、13.2%増収、15.3%営業増益。

 ASMLホールディング(以下ASML)の2026年12月期1Q(2026年1-3月期、以下今1Q)は、売上高87.67億ユーロ(前年比13.2%増)、営業利益31.58億ユーロ(同15.3%増)となりました。堅調な業績でした。


 今1Qのシステム売上高(ハードウェア売上高)は前4Q75.84億ユーロ(前年比6.6%増)から今1Q62.79億ユーロ(前年比9.4%増)へ減少しました。後述のようにEUV露光装置は増加しましたが、一世代前のArF液浸露光装置が大幅に減少しました。


 また、サービス売上高は前4Q21.34億ユーロ(前年比0.6%減)から今1Q24.88億ユーロ(前年比24.3%増)へ増加しました。ソフトウェアアップグレードが増加しました。


 今1Qの機種別売上高を見ると、EUV露光装置販売台数は前4Q14台から今1Q16台(うち2台が最新型の高NA型)へ増加し、売上高は同36.40億ユーロから41.44億ユーロへ増加しました。

今1Qは前年比でも28.9%増となりました。販売単価は同2.60億ユーロ→2.59億ユーロと高水準でした。


 一方でArF液浸露光装置は、販売台数は同37台→17台、売上高は同30.34億ユーロ→14.44億ユーロへ大幅に減少しました。今1Qは前年比でも23.8%減となりました。ArFドライ、KrF、i線も前四半期比減少または横ばいでした。


 今1Qの売上総利益率は53.0%となり、前1Q54.0%からは下がったものの、前4Q52.2%からは上昇しました。前1Qよりも売上総利益率が悪化したのはEUV露光装置の製品ミックスが前1Qは良かったこと、前4Qから改善したのは高採算のソフトウェアアップグレードが増加したことによります。


 ロジック向け、メモリ向け売上高を見ると(会社側開示のシステム売上高のメモリ、ロジック比率より楽天証券計算)、傾向的にメモリ向けが増加しています。この傾向は今期、来期と続くと予想されます。地域別売上高を見ると、メモリ向けの増加に伴って韓国向けの増加が目立ちます。


 なお、今1Q決算から受注高と受注残高を開示しなくなりましたが、会社側は受注高は好調だったとしています。


表1 ASMLホールディングの業績
決算レポート:ASMLホールディング(メモリ向けEUV露光装置が増加)
株価(アムステルダム) 1,244.00ユーロ(2026年4月17日)株価(NASDAQ) 1,459.80USドル(2026年4月17日)時価総額 564,213百万USドル(2026年4月17日)発行済株数 387.0百万株(完全希薄化後、Dilluted)発行済株数 386.5百万株(完全希薄化前、Basic)1ユーロ 1.1754 USドル(2026年4月20日)単位:百万ユーロ、ユーロ、米ドル、%、倍出所:会社資料より楽天証券作成。注1:当期純利益は親会社株主に帰属する当期純利益。注2:EPSは完全希薄化後(Diluted)発行済株数で計算。ただし、時価総額は完全希薄化前(Basic)で計算。注3:ASMLホールディングはアムステルダム、NASDAQに上場しているが、ここではNASDAQの株価でPERと時価総額を計算した。注4:会社予想は予想レンジのレンジ平均値。

表2 ASMLホールディング:売上高内訳(四半期)
決算レポート:ASMLホールディング(メモリ向けEUV露光装置が増加)
単位:100万ユーロ出所:会社資料より楽天証券作成注:端数処理のため合計が合わない場合がある。

表3 ASMLホールディングの機種別売上高、販売台数、単価(四半期)ASMLホールディング:EUV露光装置の売上高、販売台数、単価(四半期)
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出所:会社資料より楽天証券作成

ASMLホールディング:ArF液浸露光装置の売上高、販売台数、単価(四半期)
決算レポート:ASMLホールディング(メモリ向けEUV露光装置が増加)
出所:会社資料より楽天証券作成

ASMLホールディング:ArFドライ露光装置の売上高、販売台数、単価
決算レポート:ASMLホールディング(メモリ向けEUV露光装置が増加)
出所:会社資料より楽天証券作成

ASMLホールディング:KrF露光装置の売上高、販売台数、単価(四半期)
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出所:会社資料より楽天証券作成

ASMLホールディング:i線露光装置の売上高、販売台数、単価
決算レポート:ASMLホールディング(メモリ向けEUV露光装置が増加)
出所:会社資料より楽天証券作成

ASMLホールディング:計測器の売上高、販売台数、単価
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出所:会社資料より楽天証券作成

グラフ1 ASMLのシステム売上高:ロジックとメモリ
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単位:100万ユーロ、出所:会社資料より楽天証券作成、注:会社開示の売上構成比より楽天証券計算

グラフ2 ASMLホールディングの地域別売上高
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単位:100万ユーロ、出所:会社資料より楽天証券作成、注:会社側開示の売上構成比より楽天証券計算

2.会社側は2026年12月期、2027年12月期にメモリ向けEUV露光装置の増加を見込む。

 今2Qの会社側業績ガイダンスは、売上高84億~90億ユーロ、売上総利益率51.0~52.0%、研究開発費12億ユーロ、販管費3億ユーロです。ここからレンジ平均値を計算すると、今2Q会社予想は、売上高87億ユーロ(前年比13.1%増)、営業利益29.8億ユーロ(同11.9%増)となります。


 また、2026年12月期通期の業績ガイダンスは、売上高360億~400億ユーロ、売上総利益率51~53%、実効税率17%としています。前回の会社予想は、売上高340億~390億ユーロ、売上総利益率51~53%、実効税率17%なので、会社側ガイダンスは上方修正されました。会社側の見方では、下期に業績の伸びが加速することになります。


 会社側は低Na-EUV露光装置の生産能力を2026年12月期は少なくとも60台以上、2027年12月期は少なくとも80台以上にする計画です。これはロジック向けに加えてメモリ向けに低NA-EUV露光装置の出荷が増加する見込みだからです。また、最新鋭の高NA-EUV露光装置の出荷も増加すると予想されます。


 大手メモリメーカー(サムスン電子、SKハイニックス、マイクロン・テクノロジー)は、AI半導体に不可欠のHBM向けウェハだけでなく汎用DRAMのウェハ(DDR5)でも、一世代前のArF液浸露光装置でマルチパターニング(ウェハを複数回露光して回路を描く手法)していたものを、低NA-EUV露光装置を使うことによってより少ない露光回数で生産性を上げ、コストを削減しようとしている模様です。さらに最新型の高NA-EUV露光装置を追加することで、低NAによるマルチパターニングを高NAによるシングルパターニングにして、露光工程をさらに削減しようとしている模様です。DRAM大手はいずれもDRAM価格の大幅上昇によって大きな利益を得ているため、高額なEUV露光装置を大量導入して一気に生産性を改善しようとしている模様なのです。


 また、TSMCは2026年の設備投資計画を従来の520億~560億ドルのレンジから、レンジ上限の560億ドルに近い水準に実質上方修正しました。

実質上方修正の対象はAI半導体の生産に使う3ナノになりますが、最先端の2ナノも計画通りかそれ以上の設備投資が行われると思われます。インテル、サムスン電子ファウンドリ事業も設備増強に動いています。


 これらメモリ、ロジックの設備投資動向を考慮し、楽天証券ではASMLホールディングの業績を、2026年12月期は売上高390億ユーロ(前年比19.4%増)、営業利益141億ユーロ(同24.8%増)、2027年12月期は売上高480億ユーロ(同23.1%増)、営業利益183億ユーロ(同29.8%増)と予想します。いずれも前回予想を上方修正します。


 前提となるEUV露光装置販売台数は、2024年12月期44台、2025年12月期48台に対して、2026年12月期65台、2027年12月期83台と予想します。このうち高NA型の販売台数は、推定で2024年12月期1台、2025年12月期5台ですが、今後は2026年12月期、2027年12月期ともに5台以上と予想します。


 高NA型はまだ採算が悪いと思われますが、低NA型は量産規模が大きくなってきたので採算が向上すると思われます。


表4 2026年12月期2Q会社側業績ガイダンス
決算レポート:ASMLホールディング(メモリ向けEUV露光装置が増加)
単位:億ユーロ出所:会社資料より楽天証券作成注:太字は会社側ガイダンス。それ以外は会社側ガイダンスに基づき楽天証券計算。

表5 ASMLホールディング機種別売上高
決算レポート:ASMLホールディング(メモリ向けEUV露光装置が増加)
単位:100万ユーロ出所:会社資料より楽天証券作成、予想は楽天証券

3.ASMLホールディングの今後6~12カ月間の目標株価を、前回の1,750ドルから1,800ドルに引き上げる。

 ASMLホールディングの今後6~12カ月間の目標株価を、前回の1,750ドルから1,800ドルに小幅引き上げます。


 楽天証券の2027年12月期予想1株当たり利益(EPS)40.45ドルに、成長性と、重要な成長ドライバーの一つが業績変動の激しいメモリ向け設備投資であるというリスクの両方を考慮して、今の評価に近い想定株価収益率(PER)45倍前後を当てはめました。


 引き続き中長期で投資妙味を感じますが、一方でPERが高いため、株価変動のリスクもあると思われます。


本レポートに掲載した銘柄: ASMLホールディング(ASML、アムステルダム、NASDAQ)


(今中 能夫)

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