日経平均の長期予想をこれまで2030年までに7万円に上昇と予想していましたが、8万円に引き上げます。インフレの見通しを引き上げたこと、AIエージェント、フィジカルAIなど新たな成長テーマが増えてきたことを反映しました。


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2030年の日経平均予想を8万円に引き上げ(窪田真之)
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日経平均2030年に8万円と予想

 日経平均株価は一時6万3,000円を超えました。あまりの上昇ピッチの速さに「バブル再来か」という人もいます。


 私は、日本株は割安で長期的な上昇は始まったばかりと考えています。この水準でバブルを話題にする人に強い違和感を覚えます。日経平均は2030年までに8万円まで上昇すると予想を引き上げました。


<日経平均(年次推移)と東京証券取引所の予想PER:1973~2026年(5月11日)>
2030年の日経平均予想を8万円に引き上げ(窪田真之)
出所:QUICKより楽天証券経済研究所が作成。グラフは日経平均株価、予想PERは東証一部・東証プライム平均。楽天証券経済研究所作成

 1973年当時、日経平均は5,000円前後でした。東京証券取引所(東証)一部の株価収益率(PER)は約13倍でした。この時の日本株は「割安」でした。


 ところが、その後日経平均はどんどん上がり続け、1989年(平成元年)末には3万8,915円のバブル高値をつけました。この時、東証一部のPERは約70倍まで上昇し、10~20倍が妥当と考える世界の常識をはるかに超えた「バブル」となりました。


 バブルは、平成に入ってから崩壊しました。ただし、「平成の構造改革」で復活した日本株は2009年以降、再び上昇トレンドに戻りました。今、東証プライムの予想PERは約19倍です。

通常のレベル(17~18倍)から比べるとやや高めですが、妥当水準と考えられる15~20倍の範囲に入っています。


 日本企業の収益力、財務内容、ビジネスモデルを勘案すると、日本株は割安で、長期的な上昇余地は大きいと考えています。


インフレ経済への転換が株価を押し上げる

 私も短期的には日経平均にやや過熱感があると思っています。ただし、それはあくまでも短期的な話です。長期的な見方は異なります。私はいつも本コラムに「日本株は割安で長期的な上昇余地は大きい」と書いています。日経平均6万3,000円でもその見方は変わりません。


 なぜなら、日本がインフレ経済に変わった効果が大きいです。インフレは国民生活に厳しいものの、企業業績と株価には強い追い風です。インフレで名目国内総生産(GDP)の伸び率が高まることが、企業の売上高を伸ばし、株価を上昇させます。


<日本の名目・実質GDP推移:2005年1-3月期~2026年1-3月期(速報値)>
2030年の日経平均予想を8万円に引き上げ(窪田真之)
出所:内閣府より楽天証券経済研究所が作成、四半期別・前期比年率・季節調整済み、シャドー部分は景気後退期

 これまで絶対に値上げできなかった企業が、普通に値上げできるようになった効果が大きいと考えます。製造業で、10年ぶり・20年ぶりに最高益を更新する企業が出てきているのは、インフレで値上げできるようになった効果が大きいです。


 とはいえ、日本の経営者のデフレマインドはまだ完全には払拭(ふっしょく)されていません。

そのために、値上げ・賃上げが遅れています。ただし、まもなくそれも変わると思います。値上げ・賃上げが続くことが普通だと認識する人が、これから増えていくと思います。


 私は1961年生まれです。インフレを30年、デフレを30年経験しました。1960年代高度成長下のインフレ、1970年代オイルショック下のインフレ、1980年代バブル経済のインフレを見てきました。そして、1990年代のバブル崩壊から2020年までデフレ経済も30年経験しました。


 2021年からまたインフレ経済に戻りました。「あ~、あの時に戻ったんだな」と私は感覚的に理解できます。でも、インフレを全く知らない世代には少し理解しがたいところがあるのかもしれません。


 インフレの影響で、東京、大阪、名古屋の都市部で不動産価格が上昇し始めました。人件費や資材価格が上昇し、建築単価が上昇しているので、その影響で不動産賃料や価格が上昇していくのは、当然のことと思います。


<日本の公示地価変動率(全用途):年次2014~2026年(1月1日時点)>
2030年の日経平均予想を8万円に引き上げ(窪田真之)
出所:国土交通省より楽天証券経済研究所が作成

 日本の上場企業には、東京、大阪、名古屋の三大都市圏に不動産を所有している企業が多く、グラフの通り、賃貸不動産の含み益が大幅に拡大しています。


<賃貸不動産の含み益上位4社の含み益推移:2013年3月期末~2025年3月期末>
2030年の日経平均予想を8万円に引き上げ(窪田真之)
出所:各社有価証券報告書より楽天証券経済研究所が作成

 日本がバブル景気に踊った1989年当時、日本の株価、地価、物価、賃金は、国際的に比較して極めて「高い」水準にありました。東京の生活費は世界一高く、日本人の賃金は国際比較で極めて高いと言われていました。株価も不動産も、PERやイールドで説明できない高値にありました。


 今は、その逆です。株価、地価、物価、賃金は、国際的に比較して「割安」になっています。割安な株価と、経営改革が評価されて、日経平均は2030年に8万円に到達する可能性があると考えています。


2030年までに日経平均が8万円に到達すると予想する理由

 私は1株当たり利益(EPS)の増加に伴って日経平均が上昇すると予想しています。表の通り、東証プライム市場の平均EPSが、年率平均6.7%増加すると予想しています。


 EPSを増加させるドライバーが三つあります。


【1】海外での利益成長
【2】インフレ
【3】自社株買い


の三要素です。この三つを合わせて、EPSは年率平均6.7%増加、4年で29.6%増加すると予想しています。それが、日経平均が2030年には8万円を超えると予想する理由です。


<東証上場企業のEPS増加要因>
2030年の日経平均予想を8万円に引き上げ(窪田真之)
出所:楽天証券経済研究所が予想

【1】海外事業による利益成長:年率寄与度(予想)2.3%


「人口が減少する日本の株は魅力がない」と言う人がいます。もし、日本企業が日本国内だけでビジネスを行っているのならばその通りですが、実際には日本企業は人口が増加するアジアや米国などで幅広くビジネスをやっています。これからも巨額の買収や合併(M&A)で海外企業の買収を積極的に進めていくと思います。


 日本企業の海外事業の成長が、東証上場企業のEPSを年率2.3%増加させると予想しています。


【2】インフレ(CPI総合指数の上昇率):年率寄与度(予想)2.8%


 日本のインフレ復活が、日本の企業業績・株価を上昇させる要因となります。日本企業は長年にわたり、ゼロ・インフレに苦しんできましたが、日本にも今後3%近いインフレが定着すると予想しています。インフレ定着は国民生活にとってネガティブですが、企業業績・株価にとっては追い風となります。


【3】自社株買い:年率寄与度(予想)1.5%


 年間15兆円を超える自社株買いが続くと考えています。発行済み株式数の減少を通じて、1株当たり利益を増加させます。


※本記事は、情報提供を目的として作成されたものであり、特定の銘柄の売買を推奨するものではありません。また、将来の市場環境や株価水準を保証するものでもありません。投資に関する最終決定は、ご自身の判断と責任において行われますようお願い申し上げます。

記事内の予想数値は、楽天証券経済研究所が一定の前提条件に基づいて算出したものであり、経済情勢の変化などにより内容が変更される可能性があります。


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(窪田 真之)

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