当初は「三里木ルート」が有力でしたが…。
整備費の3分の1ずつを国、県、JR九州が支出する条件熊本空港アクセス鉄道のイメージ(2018年3月、草町義和撮影/写真AC)。
熊本県が2022年9月9日(金)、阿蘇くまもと空港へ直結する鉄道構想について、3ルート案の比較検討結果を公表。所要時間や工期、収支採算性にも言及しました。
この鉄道構想は、県が2019年にJR九州から基本的な方向性について同意を受け、2020年に空港アクセス検討委員会を設置して検討が進められています。JR豊肥本線との接続駅は肥後大津、原水、三里木の3つ。新線の保有は県を中心とする第三セクターが、運行はJR九州が担い(上下分離方式)、整備費の3分の1ずつを国、県、JR九州が支出するなどとなっています。
順に内容を見てみます。いずれも開業予定を2034年度末とした場合、肥後大津ルート(約6.8km)の概算事業費は約410億円。需要予測は約4900人/日で、収支採算性は36年です。熊本駅への所要時間は直通で約44分としています。
原水ルート(約9.1km)の概算事業費は約530億円で、需要予測は約4700人/日。収支採算性は「40年以内に黒字転換しない」となりました。ちなみに熊本駅への所要時間は乗り換え含め約43分としています。
三里木ルート(約8.8km)の概算事業費は約490億円。需要予測は約5800人/日で、収支採算性は34年です。熊本駅への所要時間は乗り換え含め約41分としています。
なお開業後30年の費用便益比を試算すると、肥後大津ルート「1.03」、原水ルート「0.72」、三里木ルート「1.01」とのこと。各駅の特徴を見ると、肥後大津駅は電化区間と非電化区間の境界にあり、特急「九州横断特急」や「あそぼーい!」も停車します。原水駅は工業団地「セミコンテクノパーク」に近接しており、台湾の大手半導体企業「TSMC」が進出します。三里木駅は、県民総合運動公園へのアクセスを兼ねます。
熊本県は「今後、県議会など様々な場面で説明を行い、県民の皆様への理解促進を図っていきます」としています。

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