神奈川県中西部で、まるで「第三の東名」かのような線形で計画されている高規格道路があります。県内を東西に貫く国道246号のバイパス「厚木秦野道路」です。
【確かに第三の東名…?】これが「厚木秦野道路」の全貌と“現場の様子”です(地図/写真35枚)
厚木秦野道路はその名のとおり厚木市から秦野市まで29.1kmが計画されています。その線形は、圏央道の圏央厚木IC付近を起点に、進路を南西に取り新東名の伊勢原大山IC、東名の秦野中井ICと連絡し、そこから北西に向きを変えて新東名の新秦野ICを終点とします。東名と新東名の間を行ったり来たりするので、「第三の東名」のようにも見えるのです。
仮に整備されれば、第三の東名的な使いみちもできると考えられます。ただ、国道246号現道を走ってみると、やはり246号が各所で抱える問題を“まとめて解消”すべく計画されたのだという印象を持ちます。
まず厚木市内。国道246号は同じく交通量の多い国道129号と市街地で重複するため、この区間は6車線が確保されていても、慢性的に混雑しています。
そこから伊勢原市内にかけては2車線区間であるうえに、伊勢原・秦野市境の「善波峠」がその交通量と勾配ゆえ慢性的に渋滞しており、現時点でも秦野中井ICに通じる東名の側道がバイパス的に使われている実態があります。加えて善波峠の「新善波トンネル」は2024年に坑口の法面が崩落し10日間通行止めとなり、2026年3月末にようやく本復旧を果たすなど、災害にも弱い区間です。
さらに、秦野中井ICから新秦野ICにかけての秦野市内もやはり2車線で、東西方向の代替路は無いに等しい状況です。
そんな現道に代わる厚木秦野道路、現在はどのようになっているのでしょうか。
工事はどこまで進んでいる? 未事業化区間ができなきゃ「第三の東名」にならず厚木秦野道路はぜんぶで5つの区間に分かれており、2026年現在、事業中の区間は3つ。
国道246号善波峠。かなりノロノロの渋滞が繰り広げられる(乗りものニュース編集部撮影)
工事が目に見えて進んでいるのは厚木地区で、圏央厚木ICから国道129号へのアクセス道路の“その先”を建設しています。中津川とその前後の低地に橋脚や盛土が構築中で、低地を一気にまたぎます。さらに西側の国道412号との接続点に「厚木北IC」(計画中のIC名は全て仮称)ができます。
そこまでが事業中区間ですが、そこから「伊勢原地区」までの7.4kmは未だ事業化されていません。もしここまでできれば、圏央道と東名が交わり常に混雑する「海老名JCT」周辺をまるごと回避して、新東名の伊勢原大山ICに迂回するルートにもなりそうですが、実現はまだまだ先です。
伊勢原地区はすでに、伊勢原大山ICのアクセス道路として県道603号の「西富岡バイパス」1.9kmがほぼ4車線で開通していますが、厚木秦野道路はこれに並行する道路として用地が確保されています。ただ、厚木秦野道路は現在のところ暫定2車線で整備されているので、ここでは県道バイパスにスペック負けするかもしれません。県道バイパス終端部から先は、厚木秦野道路の単独区間として、鈴川を渡る橋が架設済み。そして、それに続く「伊勢原第一トンネル」の建設が進んでいます。
この伊勢原区間は最終的に、善波峠の東側で国道246号と接続する「伊勢原西IC」までとされていますが、鈴川の橋梁と伊勢原第一トンネル以外はまだ工事着手していません。
伊勢原西IC-秦野中井IC間をつなぐ「伊勢原西-秦野中井」区間の工事は未着手の状態。そして秦野中井IC以西は事業化もされていません。29.1kmもの大規模国道バイパスは、ほんの一部、工事を進めているという状態に留まります。

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