水戸岡さんらしいデザイン

 東京都内を走る都電荒川線で2026年4月16日、水戸岡鋭治さんがデザインしたリニューアル車両の運行が始まりました。

 これは都電の魅力向上や荒川線沿線の活性化を目指し、「都電(TODEN)車両リニューアルプロジェクト」として従来の車両に手を加えたものです。リニューアルに際してクラウドファンディングも行われました。

 今回リニューアルしたのは、1990(平成2)年に登場した8500形8501号車です。車体色は昔の都電を彷彿(ほうふつ)とさせる山吹色に変わり、内装は木材を豊富に活用して、座席や壁面には様々な模様が入った装飾が施されています。

 水戸岡さんはJR九州のクルーズ列車「ななつ星in九州」をはじめ、JR九州の車両を中心に全国各地の車両などでデザインを担当した実績があります。この“水戸岡デザイン”の車両を見ると共通点があり、車体には列車や車両などの名前を入れ、内装は木目調を基本としています。内装の柄のセンスは、水戸岡さん独自といって良いものです。

 8501号車は、車体に「TODEN」「TOEI TRANSPORTATION」「TODEN ARAKAWA LINE」といった文字や都電荒川線の停留所の名前などが入っています。これは水戸岡さんが車両の外観をデザインするときのこだわりで、旅の思い出に車両をバックにして撮影した際、背景に映る車両は何なのかを分かりやすくするためと聞いています。

 内装は、床・壁・天井・座席・カウンター・ロールブラインドは木製で、床は寄木としています。見る人が見れば、座席の形だけで「水戸岡デザイン」と分かるかもしれません。また、座席や壁面の柄も水戸岡さんのデザインの特徴です。壁面の模様は、分割したものを組み合わせていますが、切れ目なくつながるように工夫されているのも水戸岡さんのこだわりです。

 2025年に「都電(TODEN)車両リニューアルプロジェクト」のクラウドファンディングが行われた際、水戸岡さんのイラストで大まかなデザインが示されています。

当初と実際ではデザインに違いがあり、文字の装飾や座席の形などが異なります。

乗客にはどう映る?

 乗車の当日、8501号車は荒川車庫→王子駅前→三ノ輪橋→荒川車庫の順で運転されていましたが、このうち王子駅前から三ノ輪橋まで乗車してみました。

 乗客の中には、荒川車庫から乗って王子駅前で降り、王子駅前から再び乗るという8501号車目当ての人も見られました。この車両を目当てに乗車を楽しむ人に加え、沿線ではカメラやスマートフォンを構えた人も数多く見られました。特に人が多かったのが、終点の三ノ輪橋でしたが、下町の風景写真の撮影を楽しむ題材として8501号車を絡めて撮影する人もいて、電車のファンの割合は少ないように見受けられました。

 8501号車に偶然乗り合わせた乗客の反応は薄いように見えましたが、沿線では「珍しいのが来た」ということで反響があるように見受けられました。

 車内では、水戸岡さんのデザインの特色として、小さなテーブルが各所に配置されています。車いすスペース脇にもテーブルがあり、高齢者が荷物を置いて利用する姿も見られました。

 この車両はイベント列車としても活用でき、その際はテーブルが増設できるように造られています。小さなテーブルは座った時には便利なものの、ラッシュで混み合っていると体を圧迫するものでもあります。ラッシュには不向きな車両になってしまうのかもしれません。

 また、水戸岡さんのデザインの特色で、座席の座面が薄くなっています。

薄い座席は長時間の着席には向かない傾向にありますが、距離の短い荒川線であれば問題ないのかもしれません。

 運行開始当日は、日中に1往復だけ8501号車が使用されました。長期間の使用やラッシュに耐え得るものなのか、様子見なのかもしれません。

 都電荒川線の車両基地がある荒川車庫前(荒川電車営業所)で、事前の運行スケジュールを条件付きで公開しています。実際に走った場合には、都営交通アプリの都電走行位置でも現在位置をアイコンで知ることができます。

【にぎやか!】都電8501号車の車内を見る(写真)

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