映画『トップガン』の主役機、再び飛ぶか

 アメリカ軍の準機関紙である星条旗新聞は2026年5月8日、退役したF-14戦闘機を保存・移管するための「Maverick Act(マーヴェリック法)」がアメリカ議会上院で可決され、現在下院で審議中と報じました。

 F-14は1970年代からアメリカ海軍の主力艦上戦闘機として運用されました。

可変翼を備えた特徴的な外観と長距離迎撃能力によって冷戦期を代表する戦闘機となりましたが、維持費の高騰や老朽化を背景に、2006年にアメリカ海軍から退役しています。

 この法案は、アメリカ海軍が保有する最後の3機のF-14Dを、アラバマ州ハンツビルの宇宙・ロケットセンターへ移管することを認めるものです。対象となるのは、アリゾナ州デービスモンサン空軍基地の「ボーンヤード(航空機保管施設)」に保管されている機体で、法案が成立すれば展示や教育目的で保存される予定です。

 さらに注目を集めているのが、この法案に「少なくとも1機を飛行可能状態へ復元する可能性」が盛り込まれている点です。法案では、航空ショーや記念飛行での使用が想定されており、戦闘能力の復活や海外移転は禁止される一方、歴史的航空機としての飛行展示は容認されています。

 アメリカ政府は、F-14の退役後、同機の関連部品の流出を極めて警戒してきました。その背景には、現在もF-14を運用する唯一の国であるイランの存在があります。アメリカ側は、部品がイランへ流出することを防ぐため、多くの退役機を解体・破砕処分してきました。今回の法案は、そうした厳格な管理方針に対する「限定的例外」と位置付けられています。

 法案を主導したティム・シーヒー上院議員らは、F-14を「アメリカ海軍航空史の象徴」と位置付けており、単なる兵器ではなく歴史遺産として後世へ残す必要性を訴えています。特にトム・クルーズ主演のハリウッド映画『トップガン』によって世界的知名度を獲得したこともあり、F-14はアメリカ軍用機の中でも極めて高い人気を誇ります。

 もっとも、実際に飛行可能状態へ復元できるかは未知数です。

F-14は退役から約20年が経過しており、部品供給や安全基準の問題に加え、可変翼機構を含む複雑な整備も必要になります。それでも、もし実現すれば、アメリカ国内でF-14が飛行するのは数十年ぶりであり、航空ファンにとっては歴史的な出来事となるでしょう。

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