251系「スーパービュー踊り子」の後継として登場

 1961(昭和36)年の伊豆急行開業以来、東京~伊豆急下田間の直通列車にはリゾート色豊かな車両が数多く投入されてきました。

「これもグリーン車!?」 JR東日本「サフィール踊り子」の“...の画像はこちら >>

 国鉄・JRは、1980年代から臨時特急「踊り子」に全車グリーン車のお座敷車両や欧風車両「サロンエクスプレス東京」を投入。

伊豆急行も窓向きの座席や展望席のほか、豪華な「ロイヤルボックス」も備えた2100系電車を「リゾート踊り子」として走らせました。現在も豪華観光列車「ロイヤルエクスプレス」が運行されています。

 とりわけ、1990(平成2)年に登場したJR東日本の251系電車「スーパービュー踊り子」は、展望席にグリーン個室、ビュッフェのようなラウンジ、超大窓の普通車、子ども室など、多数の特色を備えた名車両でした。JR特急としては最高レベルの設備を持ち、2020年の引退まで人気を集め続けました。

 その251系の後継として2020年に登場したのが、E261系電車「サフィール踊り子」です。E261系は通年運行されるJR特急では過去に見られない特徴を有しています。それは「全車両グリーン車」という大胆な設定です。

 トータルデザインは、豪華クルーズ列車「トランスイート四季島」や新幹線E6系を手掛けた工業デザイナーの奥山清行氏。外観のデザインコンセプトは「伊豆の圧倒的で雄大な自然」で、伊豆の海と空を表す紺碧色と、伊豆の砂浜が太陽の光を受けて輝く様子を表した白、城ヶ崎海岸の溶岩を現したグレーで塗装されました。

 外観の最大の特徴は、側天井部の天窓でした。251系ほどではありませんが、これにより室内の開放感が高まっています。

他に類を見ないプレミアムグリーンとグリーン個室

 座席は全車グリーン車で、3タイプに分かれます。

1号車はJR東日本で初めての上級グリーン車「プレミアムグリーン」車です。1+1列で側廊下式という、他に類を見ない座席配置で、座席間隔は1250mm。バックシェルが付いた革張りのシートで、座席上部の荷物棚はなく、座席下の荷物スペースのほか専用の荷物置き場が設けられています。

 座席の座り心地は快適であるものの、グリーン車以上グランクラス未満という印象です。座席形状は良いのですが、足元スペースとリクライニング角度でグランクラス、特に新幹線E7・W7系のグランクラスにやや及ばないと感じます。運転席後ろは開放され、立っていれば前面展望が楽しめます。座っていると、ほとんど見えないのは残念です。

 2・3号車はグリーン個室です。4人用と6人用があり、4人用は向かい合わせ、6人用は窓向きにソファが設置されています。近年のJR車両は硬い座席ばかりですが、このグリーン個室のソファは非常に柔らかく、座り心地は抜群です。

 6人用個室は寝台特急のA個室寝台以上のスペースが確保されており、かつての豪華寝台特急「トワイライトエクスプレス」の「スイート」のような、圧倒的な空間のゆとりを感じます。昼行特急の個室では、個人的には最高の一つだといえます。

 4号車はカフェテリアで、基本的には事前予約が必要です(当日、車内予約できる場合もあります)。いわゆる「食堂車」で、車内で調理した食事が提供されます。車内は、窓向き座席と向かい合わせ座席、オープンキッチンの組み合わせです。ただし、4号車で食事ができるのは、プレミアムグリーン車とグリーン車の利用者のみです。グリーン個室を利用の場合は個室にデリバリーされるため、食堂車の雰囲気を味わいたい人は注意が必要です。

 5~8号車は1+2列配置のグリーン車です。新幹線E5系のグリーン車とほぼ同じ座席であり、枕、レッグレスト、座席形状のバランスに優れています。よりグレードの高いプレミアムグリーンのあるE261系ですが、グリーン車の時点で全JRの特急車両の中でもトップクラスの質があると感じます。また、JR東日本の特急車両のグリーン車は基本的に2+2列なので、1+2列のグリーン車を同じグリーン料金で利用できるのはお得です。

 E261系は登場以来、東京・新宿~伊豆急下田間で特急「サフィール踊り子」として運行されており、251系「スーパービュー踊り子」のように他線区で運行されたことはありません。臨時列車として日光線などで走ったら、と思う車両ではあります。今後の動向に注視したい、完成度の高い豪華車両だと感じます。

【豪華!】「サフィール踊り子」の各座席タイプを見る(写真)

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