日本の法令により、乗車定員30人以上のバスなどには、客室右側面の後部または後面に非常口を設けることが定められています。
多くの人が「赤いカバーを外してレバーを引けば開く」というイメージを持っていますが、実はその前後に、脱出をスムーズにするための重要な工程が隠されています。
一般的な大型バスでは、まず非常口の表示に従ってレバーを操作し扉を開放します。その後、車種によっては非常口付近の座席を折り畳むなどして通り抜けるスペースを確保します。非常口付近の座席は避難の妨げにならないよう倒せる構造になっており、これを知らないと、大人がスムーズに通り抜けるのは困難です。
扉が開くと、その旨を運転者に知らせる警報装置が作動しますが、これは異常ではなく正常な動作ですので、慌てる必要はありません。
扉が開き、警報音が鳴り響く緊迫した状況。しかし、本当の「難所」は扉を開けたその先に待ち構えています。
多くの人が見落としがちな、地上までの「高さ」と「周囲の状況」には、どのような罠が潜んでいるのでしょうか。
飛び降りるのは危険? 脱出時に最も注意すべき「足元の段差」非常口の扉を開けて外を見たとき、多くの人が驚くのが地面までの「高さ」です。バスの床面は地面から一定の高さにあるため、不用意に飛び降りると足を挫いたり、転倒して怪我をしたりする恐れがあります。
脱出の際は、まず足元をしっかり確認し、可能であれば座った姿勢から足を外に出して降りるなど、慎重な動作が求められます。
さらに、多くの大型バスでは非常口が右側に設けられているため、状況によっては車道側へ出ることになり、周囲の安全確認が非常に重要です。追い越してくる後続車にはねられる二次被害を防ぐため、扉から顔を出す前に左右の安全を確認することが鉄則となります。
また、車体が変形して非常口が開かないような緊急事態には、通常の乗降口付近にある「非常コック」の出番です。これを操作してドアの空気圧を抜くことで、手動で扉を開けることができます。設置位置や操作方法は車種によって異なるため、表示を確認して操作する必要があります。
一生に一度も使わないことが理想ですが、その「一度」が起きたときに自分と周囲の命を守れるのは、事前の知識だけです。次にバスに乗る際は、座席を倒すレバーの位置や非常口までの動線を、一度だけ目で追っておく価値はあるでしょう。

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