全国に1200か所以上ある「道の駅」ですが、東京都内にはたった1駅しかありません。その都内唯一の道の駅「八王子滝山」は、中央道の八王子IC至近、かつ2026年6月にはさらに道路の向かいに大規模商業施設「イオン八王子滝山」がオープンするなど、ますますの人気が期待されます。
そうしたなか、都内で「2番目の道の駅」を目指すべく、具体的な検討を進めているのが、多摩地区の「東久留米市」です。5月には道の駅基本構想策定支援業務の委託事業者の募集も行われました。
東久留米市は西武池袋線の沿線に位置し、埼玉県に接する比較的小さな市。昭和の時代から大規模な団地が開発されるなどベッドタウンとして発展し、「第一種低層住居専用地域」が市域の約6割を占める戸建て中心の街です。高速道路や国道も遠いうえ(東京の国道20号から埼玉の国道254号までは国道の空白地帯)、市内の道のほとんどは狭く、「道の駅」のイメージがピンとくる地域ではないかもしれません。
市の検討は2024年7月に調査研究グループが設置されてから本格化しました。市が道の駅に期待を寄せる背景には、地域経済の課題があります。
2025年9月に市が公表した「東久留米市道の駅調査研究報告書」によると、2018年における市の民間消費額のうち、約1131億円が市外へ流出している状況です。ベッドタウンゆえの悩みといえるかもしれませんが、これは全国の市区町村の中でも非常に低い水準にあり、地域経済の大きな課題となっています。また、将来的には生産年齢人口の大幅な減少も予測されています。
こうした状況を打開するため、市外から消費や投資を呼び込み、市民が市内で消費できる魅力的な拠点をつくることが必要とされています。道の駅は、そのブランド力で人々を引き寄せ、地域経済の活性化や賑わい創出の核となることが期待されているのです。
市は目指す道の駅の姿として「次世代を担う都市郊外型道の駅」をコンセプトに、「最新テクノロジー」と「道の駅」を掛け合わせた、これからのモデルケースとなるような施設を構想しています。
たとえば、施設はトレーラーハウスやコンテナハウスを多用した「リムーバブルな道の駅」とすることで、社会情勢やニーズの変化に柔軟に対応するほか、初期投資を抑える狙いもあるとしています。また、シェアサイクルや電動キックボードなどを備えた「マルチモビリティステーション」の設置、ドローンや自動運転を体験できる機会の創出などを掲げています。
西武池袋線と新宿線の間が激変?調査研究グループは、道の駅の敷地面積を1万8000平方メートル、駐車場を約160台、自家用車などによる年間来場者数を約37万8000人と想定しています。
では、そんな道の駅が市のどこにできるのか――。場所の選定も今後パートナー企業と検討が進められる見込みですが、調査研究グループは市の「西部地域」を最有力候補として挙げています。
報告書では、市内を東部(西武池袋線より東側)、中部(西武池袋線~小金井街道)、西部(小金井街道より西側)の3地域に分け、「マルチモビリティ」と「地域貢献・地域連携」の観点から比較検討を実施した結果、西部地域が最も構想とマッチする可能性が高いと結論づけられています。
西部地域は大きくいえば、西武池袋線と西武新宿線の中間です。新青梅街道や滝山中央通りといった幹線道路が通り、路線バスの系統も多いことから公共交通機関など多様な手段での来場が見込める「マルチモビリティ」との相性が良いと評価されました。また、大規模団地や商店街などがあり、地域住民をメインターゲットとした連携がしやすい点も強みとされています。
すべてが順調に進んだ場合、道の駅のオープンは2034年度から2036年度頃になる見込みです。

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