これからの季節、渓流釣りで釣れる渓魚達は、食の面でも旬を迎えて大変美味となる。美味しい渓魚だけでも食卓は大変豪勢な物になるのだが、ここに「現地で採れる野菜・山菜」とでも呼ぶべき食材があれば、さらに素晴らしい食事を楽しむことが出来る。

今回は、渓流釣りと相性のいい野草採り第三弾として、ヨモギ・ユキノシタ・わらびを紹介したい。

(アイキャッチ画像提供:TSURINEWSライター荻野祐樹)

「釣魚より家族に喜ばれるかも?」渓流釣り場で採れる野草3選【...の画像はこちら >>

ヨモギ

まずは、誰もが知っている植物であろう、ヨモギについて紹介したい。

実は種類が沢山

ヨモギは公園や土手、果ては道路脇の街路樹の下など、どこでも見かける普通の植物だ。一般的な図鑑に掲載されているヨモギは一種類だが、実はかなり沢山の種類が存在しており、その数は一説によると40種を超えているようだ。

「釣魚より家族に喜ばれるかも?」渓流釣り場で採れる野草3選【ヨモギ・ユキノシタ・わらび】
「釣魚より家族に喜ばれるかも?」渓流釣り場で採れる野草3選【ヨモギ・ユキノシタ・わらび】
どこにでもあるヨモギ(提供:TSURINEWSライター荻野祐樹)

また、同じ「ヨモギ」であっても変異幅が大きく、この事は野食ハンター・茸本氏の著書でも触れられている。

見分け方は?

ヨモギの葉は切れ込みの入った独特の形をしている上、強い香りがある。摘むたびにこの香りを確認していれば基本的に間違いはない。さらに、裏面が白い綿毛で覆われていれば安心だ。

若い芽のみを狙う

最大で1m近く育つヨモギは、大きくなると葉が硬くなりアクも強くなる。渓流釣りにおいては、沢付近にて背の低い若芽の集団を見かける事が多いはずだ。

「釣魚より家族に喜ばれるかも?」渓流釣り場で採れる野草3選【ヨモギ・ユキノシタ・わらび】
「釣魚より家族に喜ばれるかも?」渓流釣り場で採れる野草3選【ヨモギ・ユキノシタ・わらび】
こちらは天ぷら用(提供:TSURINEWSライター荻野祐樹)

川虫(特にクロカワムシ)を採集し、鎮静剤として餌箱に入れるついでに、これらの新芽部分のみを食用として摘み取っておこう。ヨモギ団子などの調理法によってはかなり沢山消費する事になるので(茹でた時に量がゴソっと減る)、事前に調理法を決めておきたいところだ。

天ぷらが最高

著者のオススメはなんといっても天ぷら。衣をつけて強火でさっと揚げるだけで、強い香りをそのまま楽しむことが出来る。

新芽を利用すればアク抜き不要なのもありがたいところだ。温かいうちに塩を振りかけて食べると最高だ。

家族に好評なヨモギ団子

だんご粉を用意すれば、自宅で簡単にヨモギ団子が楽しめる。家族4人分であれば二つかみ程度を用意し、塩を入れた熱湯で5~8分程度煮てから冷水にさらし、アクを抜く。

摘み取った芽がやや大きめの場合は、筋を柔らかくするために重曹を小さじ1程度入れるのもアリだ。水にさらしたヨモギは、包丁で叩いてみじん切り~ペースト状にしておこう。

後はこのヨモギペーストにだんご粉・砂糖と、規定量より1割程度少ない水を混ぜてから耳たぶ程度の硬さになるように捏ねて、だんご粉の袋に記載がある湯がき時間を守って湯がけば完成だ。

「釣魚より家族に喜ばれるかも?」渓流釣り場で採れる野草3選【ヨモギ・ユキノシタ・わらび】
「釣魚より家族に喜ばれるかも?」渓流釣り場で採れる野草3選【ヨモギ・ユキノシタ・わらび】
絶品のヨモギ団子(提供:TSURINEWSライター荻野祐樹)

著者は黒蜜と黒練りゴマで食すのが好みだが、餡子やきな粉も捨てがたい。和菓子が好きな家庭なら大変喜ばれるはずだ。皮肉なことに、我が家では渓魚よりも喜ばれてしまった……。

ユキノシタ

続いて、「天ぷら専用野草」ことユキノシタを紹介したい。

なぜユキノシタ?

これには諸説あり、雪が積もってもその下に緑の葉がある説、白い花を雪(もしくは雪虫)に見立ててその下に葉があるから説、垂れ下がった白い花弁から「雪の舌」説等だ。

「釣魚より家族に喜ばれるかも?」渓流釣り場で採れる野草3選【ヨモギ・ユキノシタ・わらび】
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こちらがユキノシタ(提供:TSURINEWSライター荻野祐樹)

場所にもよるが、著者が通う釣り場では3月下旬~5月頃によく見かけるように思う。特徴的な模様と色合いは、まず見間違えることはないだろう。

鑑賞用?

花だけでなく葉の模様が美しいため、観賞用として植えられている事も多い。種だけでなく匍匐枝(ランナー)によっても増えるため、仮に栽培すれば、半永久的に野菜として楽しめるのかもしれない。

「釣魚より家族に喜ばれるかも?」渓流釣り場で採れる野草3選【ヨモギ・ユキノシタ・わらび】
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ユキノシタの群生(提供:TSURINEWSライター荻野祐樹)

渓流釣りにおいては、生垣状に護岸化された場所で、かつ日当たりがあまり良くなく、水が僅かに流れてくるようなやや苔むした場所でよく見かける。

葉をちぎって採取

1株から纏めて取ってしまわないよう注意しつつ、葉の部分をちぎるようにして食べる分だけ採集するといい。著者は採取した物を湿らせたキッチンペーパーに包み、ビニール袋に入れて持ち帰っている。このまま冷蔵庫に入れれば数日はもつはずだ。

天ぷらが最高

野食ハンター茸本氏が「天ぷら専用種と言ってもいい」と言うくらいで、実際に薄衣の天ぷらで食べると、爽やかな香りと苦み、そして揚げても失われない歯触りを感じられ、実に美味だ。

「釣魚より家族に喜ばれるかも?」渓流釣り場で採れる野草3選【ヨモギ・ユキノシタ・わらび】
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天ぷらは絶品だ(提供:TSURINEWSライター荻野祐樹)

表面に細かい毛が生えているが、この毛は揚げた時に一切気にならなくなるだけでなく、衣を纏いやすくなるため、調理しやすいというのも特筆すべき点だろう。

わらび

最後に紹介するのは、山菜としても各地で親しまれているわらび(蕨)だ。この記事が公開される頃はシーズン終盤かもしれないので、採集する場合はお早めに!

食べられるシダ

ワラビはシダ植物の一種で、実に特徴的な見た目をしている。味が良い事から、日本の各地で促成栽培が行われるなど、人気が高い山菜だ。

「釣魚より家族に喜ばれるかも?」渓流釣り場で採れる野草3選【ヨモギ・ユキノシタ・わらび】
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こちらがわらび(提供:TSURINEWSライター荻野祐樹)

どこで採れる?

渓流釣りの環境はわらびにとっても最適なようで、遡行中に見かける機会が多い山菜だ。具体的には、川のすぐ傍で日当たりのいい開けた所や、枯れ草が溜まっている隙間から顔を出していたりする。

「釣魚より家族に喜ばれるかも?」渓流釣り場で採れる野草3選【ヨモギ・ユキノシタ・わらび】
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わらびの群生(提供:TSURINEWSライター荻野祐樹)

本種は先端のみが枝分かれするようになっているのが特徴なので、それを目印にして採取しよう。先端以外のところから枝分かれしているのは別種なので要注意だ。

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「釣魚より家族に喜ばれるかも?」渓流釣り場で採れる野草3選【ヨモギ・ユキノシタ・わらび】
下がわらび(提供:TSURINEWSライター荻野祐樹)

わらびを採集する際は、付け根付近からポキっと簡単に折れる場所を探して、摘み取るようにするといいだろう。

アク抜き必須

非常にアクが強い山菜なので、アク抜きは必須だ。方法は、鍋にわらび300g程度を入れ、重曹大さじ1をふりかけておき、そこに80度程度の湯を約1L注ぐ。その後、ワラビ全体が水没するように落とし蓋等をし、そのまま丸1日漬けておく。その後、しっかりと水洗いしたら、1日以内に調理しよう。

「釣魚より家族に喜ばれるかも?」渓流釣り場で採れる野草3選【ヨモギ・ユキノシタ・わらび】
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アク抜き済みのわらび(提供:TSURINEWSライター荻野祐樹)

レシピが沢山

我が家ではうどんのスープ渓の和風だしで味をつけた卵とじが定番メニュー。その他、醤油とごま油小さじ2・砂糖小さじ1・コチュジャン小さじ1・味の素2振りを混ぜたタレで味付けしたナムルも酒のアテとして最高だ。

「釣魚より家族に喜ばれるかも?」渓流釣り場で採れる野草3選【ヨモギ・ユキノシタ・わらび】
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とろっとして美味!(提供:TSURINEWSライター荻野祐樹)

ナムルや卵とじ以外にも、三杯酢・ポン酢・からし麺つゆ等でお浸しにしたり、胡麻和えにするのも良いだろう。

渓魚と野草で贅沢な食卓を!

4月~5月は、渓魚達も秋の産卵に備えて餌をたらふく食べ込むため、実に美味しい時期となる。

今回ご紹介した三種は渓流釣りの合間に採集可能なものばかりだし、旬の時期が渓魚とぴったり重なるため、まさにこの時期にうってつけの食材だ。

渓流釣り師であれば、この「美味しい時期」を見逃すわけにはいかない。明日の釣りの後の夕飯に、渓魚と野草/山菜のフルコースはいかがだろうか。

<荻野祐樹/TSURINEWSライター>

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