11月19日(日)、京都競馬場で3歳以上馬によるGⅠマイルチャンピオンシップ(芝1600m)が行なわれる。

 直近3年は京都競馬場改修のために阪神競馬場で行なわれていたが、今年は4年ぶりの京都開催。

昨年の勝ち馬セリフォス、2021年のNHKマイルC勝ち馬シュネルマイスター、昨年のNHKマイルC勝ち馬ダノンスコーピオン、2020年のホープフルSを勝ったダノンザキッドと、4頭のGⅠ馬が出走を予定している。

マイルCSで狙うべきは4勝すべてが1600mのマイラーと、日...の画像はこちら >>
 このレースを血統的視点から占っていこう。今回のメンバーで、特にこのレース向きの血統を持つのがナミュール(牝4歳、栗東・高野友和厩舎)だ。

 本馬の父ハービンジャーは2017年の勝ち馬ペルシアンナイトの父で、母の父ダイワメジャーは2006年、2007年の勝ち馬。また、ダイワメジャーは昨年の勝ち馬セリフォス、2013年2着のダイワマッジョーレ、2020年3着のアドマイヤマーズを出している。

 牝系も優秀で、半妹ラヴェル(父キタサンブラック)は昨年のGⅢアルテミスS勝ち馬。

叔母に米GⅠBCディスタフのマルシュロレーヌ、地方交流GⅢマーキュリーCなどダートグレード競走2勝のバーデンヴァイラーなど、近親に多くの活躍馬がいる。

 曽祖母キョウエイマーチは、1997年の桜花賞など重賞を4勝した名牝だ。キョウエイマーチは3歳時にマイルチャンピオンシップにも出走。1000m通過56秒5という、今も破られていないレース最速ラップで逃げて2着と粘った。ちなみに、2番目に速い56秒7のラップで逃げた馬は2頭いるが、2010年のジョーカプチーノは9着、2017年のホウライアキコは最下位17着と敗れている。このラップで、"史上最強マイラー"と称されることもあるタイキシャトルに次ぐ2着に入った走りは、勝ちに等しいものだった。

 キョウエイマーチは、今回と同じコースで行なわれた6歳時のGⅢ京都金杯を5馬身差で圧勝。京都のマイル適性は極めて高かった。そんな名牝を曽祖母に持ち、ハービンジャー、ダイワメジャーと、マイルチャンピオンシップに縁のある血で構成されたナミュールの血は、このレースでこそ騒ぎそうだ。

 ナミュールは実力も十分で、これまでにGⅡチューリップ賞(阪神・芝1600m)、GⅡ富士S(東京・芝1600m)とマイル重賞を2勝。3歳時はGⅠ秋華賞(阪神・芝2000m)2着、GⅠオークス(東京・芝2400m)3着など中長距離でも結果を残していたが、これまで勝利した4勝はすべて1600mであるように本質は「マイラー」だ。

 前走の富士Sは、GⅠ安田記念16着以来約4カ月半ぶりの出走だったが、これまで大きな課題だったスタートをうまく決め、スムーズな競馬で差し切った。

充実の4歳秋を迎え、本格化したと見てよさそう。GⅠ初制覇に期待したい。

 もう1頭はレッドモンレーヴ(牡4歳、美浦・蛯名正義厩舎)を推す。父ロードカナロアの産駒は2018年にステルヴィオが勝利。母の父ディープインパクトの組み合わせは、先週のGⅠエリザベス女王杯を勝ったブレイディヴェーグと同じだ。祖母エアグルーヴはGⅠオークス、GⅠ天皇賞・秋を勝った名牝で、近親にはルーラーシップ、ドゥラメンテ、アドマイヤグルーヴ、ジュンライトボルトなどがいる日本を代表する名牝系の出身でもある。

 レッドモンレーヴは今春のGⅡ京王杯スプリングC(東京・芝1400m)勝ち馬。安田記念は6着に敗れたが、前走の富士Sではメンバー最速の上がり3F33秒7の差し脚を見せてナミュールに次ぐ2着と好走。この馬もナミュール同様、4歳秋に充実期を迎えている印象で、やはりGⅠ初勝利に期待がかかる。

 以上、今年のマイルチャンピオンシップは、ハービンジャー産駒ナミュール、ロードカナロア産駒レッドモンレーヴの2頭に注目する。