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竹俣 紅連載:『紅色の左馬』第8回

スポルティーバとフジテレビの競馬中継番組『みんなのKEIBA』とのコラボ企画、竹俣紅アナウンサーの連載『紅色の左馬』。今回はこの秋、衝撃的なレースを披露したリバティアイランドとイクイノックスの強さを振り返りつつ、その両者が激突することになったジャパンCについての話も聞いた――。

竹俣紅アナが語る競馬研究の喜び ジャパンC「2強」以外にもこの馬に注目!
 先日、知り合いの方から"記念馬券"をいただきました。

 2020年ジャパンCで名勝負を繰り広げた「3強」、アーモンドアイ、コントレイル、デアリングタクトの、それぞれの単勝馬券です。

 私はそれまで記念馬券というものの存在、つまりお金をかけるためではなく、その馬が出ていたレースのメモリーとして持っておくために購入する馬券のことを知りませんでした。

 名馬と称される強い馬がそろったり、そのレースに至るまでにいろんな背景を持っている馬が出ていたりと、特に思い出に残しておきたいレースというものはありますよね。それを馬券という形にして残しておく――なるほど、素敵な習わしだな、と思いました。

 そう考えると、この秋のGIシリーズは記念馬券を買っておけばよかったと思うくらい、歴史的な凄まじいレースが続いています。

 まずは、リバティアイランドが牝馬三冠を達成した秋華賞です。

 私は『みんなのKEIBA』でこのレースの本命予想をするにあたり、過去のリバティアイランドのレース映像を何度も見直してみました。そこで気がついたことは、彼女は「私、外回りが得意なんです!」という走りをしていて、決して内回りが向いているとは思えないということ。だとすれば、問答無用でリバティアイランドを本命に推すわけにもいかないと思っていました。

 とはいえ、「じゃあ、リバティアイランドを負かせるほど、他に条件が向いている馬がいるか?」というと、見当たらない。結局、私の予想も巡り巡って、リバティアイランドが本命でした。

 ですから、春の二冠女王はきっと強いんだろうなとは思っていたのですが......、予想どおりというより、その予想を超えてくる強さ! ここまで余裕のある勝ち方ができるのかと、衝撃を受けました。

 勝った直後、川田将雅騎手が見せた涙にもグッとくるものがありました。

 単勝1倍台という絶対的な人気がプレッシャーになっていたことは想像に難くなく、馬場は渋り、3枠6番発走で馬群に包まれる危険性もありつつ、本当は得意でないはずの内回り......。当然の勝利に見えて、実はいろんな懸念材料があったはずです。にもかかわらず、すばらしい騎乗でリバティアイランドを勝利に導きました。

 かつて女流棋士だった私の経験から言えば、"勝って当たり前"と思われる勝負は難しい。

メンタル的に勝ち方がわからなくなるような、謎のプレッシャーを感じることがよくあります。

 あれだけ強ければ、勝って当たり前だよと思われるかもしれませんが、それは簡単なことではなかったと思います。これまで何度も手を焼かされたわがまま娘とともに、牝馬三冠を達成した川田騎手に大きな拍手を送ります。

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 そしてもうひとつの歴史的レースは、天皇賞・秋です。

 言うまでもなくイクイノックスの圧倒的な強さが際立つ結果に終わったわけですが、このレースの前にラップタイムの勉強を始めておいて、本当によかったなと思ったレースでした。というのも、過去の天皇賞・秋のラップタイムを調べていたおかげで、イクイノックスがいかにすごい勝ち方をしたのかがよくわかったからです。

 昨年のレースでは、パンサラッサが単騎で逃げて、他の馬たちは別のレースをしていた感じでした。ところが、今年は全部の馬がパンサラッサみたいなペースで初めから走っていて、それでいて、前半よりも後半のラップタイムのほうが速いとは......。

 そんなラップタイムを記録したレースで、3番手を追走しながら勝ってしまったイクイノックスの強さには、もう言葉もありません。

 それにしても、毎度毎度のことながらクリストフ・ルメール騎手はさすがです! ドゥレッツァで菊花賞を勝った時もそうでしたが、心からすばらしい騎乗だったなと思うことが本当に多いのです。

 馬に何か言葉をかけているのか。それとも、言葉をかけずとも馬と心が通じ合っているのか。

騎乗技術が優れているのはもちろんのこと、目には見えない何か不思議な力を持っているのではないかとさえ思ってしまいます。

 もし話しかけているのだとしたら、何語で話しているのかな?(笑)。インタビューさせていただける機会があったら、ぜひ聞いてみたいです。

 こうなると楽しみになってくるのが、まもなく行なわれるジャパンCでの両者の直接対決ですよね。それをこの目で見られる私たちは、すごく贅沢だなと思います。

 やはりレースのカギを握るのは、イクイノックスでしょう。

天皇賞・秋で記録した"世界レコード"は衝撃的なタイムでしたが、その疲れがどのくらい残っているのか。疲れのせいで本来の走りができなくても十分強そうだなとは思いますが、そこが懸念材料であるのは確か。

 一方のリバティアイランドにとっては、斤量が軽いというのは有利な材料となるはずです。

"2強"以外で特に気になるのは、ドウデュースです。天皇賞・秋では、デビューからずっとコンビを組んできた武豊騎手の負傷による急な乗り替わりもあって、力んでしまい7着。さらに、今回も武豊騎手の騎乗はかなわないことに......。

 不運に見舞われていますが、タイムの速かった前走で全力を出しきらなかったことで、体力が残っているとも考えられます。叩き2走目のジャパンCでは100%の力を出しきってほしいなと思っています。

 また、フランスから参戦するイレジンがどんな走りを見せてくれるのかにも注目しています。

 この馬のレース映像をさかのぼれるところまで見たところ、前半はいつも頭が高いように見えるのですが、最後に豪快な末脚を繰り出してくる馬なんですよね。この馬の走ったほとんどのレースが重い馬場なので、東京の芝が合うかどうかというところがポイントになりそうです。

 私たちが凱旋門賞に行ったスルーセブンシーズを応援したように、きっとフランスから応援しているファンがいると思うので、異国の地で無事に、存分に力を発揮してほしいです。

 ちなみに、イレジンのレース映像を見ていたら、日本のディープボンドが出てきたんです! 2021年のパリロンシャン・GIIフォワ賞でした。海を渡ったディープボンドが見事に逃げ切り勝ち。ゴール前、思わず画面に向かって応援してしまいました(笑)。ジャパンCでも、もちろんディープボンドの走りにも注目です。

 さらに今回は、タイトルホルダーとパンサラッサという鮮やかに逃げる2頭がそろい、ハラハラするレース展開になりそうですよね。

 その他にも、ダノンベルーガ、スターズオンアースにも期待していますし、"2強対決"以外にも見どころは盛りだくさん。レースの予想が難しいのはもちろんですが、どんな記念馬券を買うかを考えるだけでも悩ましいことになりそうです。

竹俣紅アナが語る競馬研究の喜び ジャパンC「2強」以外にもこの馬に注目!
Profile
竹俣 紅(たけまた・べに)
1998年6月27日生まれ。東京都出身。2021年フジテレビ入社。
趣味:おいしいおそば屋さん巡り ウォーキング ガチャピン
モットー:元気に、地道に、前向きに

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