山本昌のスカウティングレポート2025年春~新3年生編
山本昌(元・中日)がドラフト候補の技術を徹底分析する恒例企画が今年も実現。今春の選抜高校野球大会(センバツ)に出場したなかで、山本昌の琴線に触れた好投手をピックアップ。
150キロ台のスピードを連発する投手なんて、高校生はもちろん、プロの世界にも少ないです。クセの少ないフォーム、ボールのキレと素晴らしかったです。ボールが出てくる角度がよく、高校時代の奥川恭伸くん(ヤクルト)を彷彿とさせる球筋ですね。ただ、大会直前に左脇腹を痛めて、復帰直後と聞きました。リリーフで打ち込まれた横浜戦は、ストレートのもうひと押しが足りなかったように感じます。昨夏と比べると、フォームのバランスや球質は「こんなものではない」という印象を受けました。実戦感覚がまだ乏しい春先だった影響もあったのでしょう。体調を万全にして最後の夏を迎えられれば、ドラフト1位は堅いと感じます。

後輩の織田翔希くん(2年)が話題になるなか、名門・横浜のエース番号を背負って存在感を出していました。150キロを超えるような驚くボールはありませんが、まとまったフォームで両コーナーに曲がる変化球を持っているのは大きいです。とくにチェンジアップの精度が高く、どのカウントでも投げられるのがポイントです。
将来性にかけては今大会でトップクラスの好素材だと感じました。たくましい体つきで、ストレートも速い。技術的な伸びしろがたくさんあります。いずれ怪物クラスの大物になるポテンシャルを感じます。フォームは軸足が折れるのが早く、右腕がトップへと上がりきる前にボールを押し出しているように見えます。体重移動時にもうワンテンポ、間(ま)をつくれると、トップをつくれて右腕を叩けるようになるはず。ホームベース方向へのラインも安定してくるでしょうし、大化けする可能性は十分あります。

体のバランスがすごくよく、高校生ながら完成度が高い投手だと感じました。

健大高崎の投手といえば石垣くんや佐藤龍月くんのイメージでしたが、下重くんも素晴らしい左腕でした。変則的に見えるけど、上背があって、体全体を使えるのがポイントです。左腕がしなって、遅れて出てくるので、ボールの出どころが見づらい。打者は想像以上に速く見えるはずです。上下動の激しいフォームでも、体はストライクゾーンにしっかりと入っていけているのもいいですね。少し気になったのは、変化球が抜けるシーンが見られたこと。

1球見ただけで「バランスがいい」と感じました。左投手のフォームの教科書と言っていいくらいで、さすが明徳義塾のエースですね。ラインのつくり方、鋭い腕の振り、タイミングと文句なし。たとえ上背が乏しく、球速が140キロに届かなくても、打者は速く感じるはずです。課題を挙げるとすれば、左肩を大きく速く回す際に、回りきらないまま腕を振ってしまうことがある点です。ボールが高めに抜けやすくなるので、修正できるといいですね。これから体に力がついて、体重移動の距離が長くなってくれば、肩が回る時間がつくれるはず。ボールもより低めに集まるようになるでしょう。
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