小笠原茉由さん インタビュー前編
2025年のプロ野球が3月28日に開幕した。それに先立ち、"プロ野球推し"の女性タレントたちによる「真剣劇場!ガチトーーク 2025年開幕直前SP」が都内で行なわれ、順位予想や注目選手など、今シーズンの展望を語り合った。
そのイベントには、プロ野球3球団で活躍し、セ・パ両リーグでMVPを獲得した小笠原道大(みちひろ)氏の娘で、中日ファンの小笠原茉由(まゆ)さんも登場。イベント終了後に、新たに井上一樹氏を指揮官に迎えた中日に寄せる期待や、注目選手などを語ってもらった。
【投手陣で注目の新戦力は?】
――「真剣劇場!ガチトーーク 2025年開幕直前SP」では、今季の中日を2位に予想していましたね。
「今年の中日への期待を語らせてもらいましたが......他のみんなの順位予想で中日は軒並み最下位(苦笑)。3年連続で最下位に沈んだイメージを払拭できていないのは残念でした。
ただ、井上一樹新監督に率いられたチームは本当に明るい雰囲気で、笑顔の絶えないチームという印象なので、私は『Aクラス入りは期待できるんじゃないかな』と思っています。監督の交代によって訪れたチームの転換期を楽しみながら、未来に向けたワクワク感が楽しめる1年になればいいなと思っています」
――まず投手陣について伺います。昨年、最優秀防御率のタイトルを獲得した髙橋宏斗投手への期待を伺えますか?
「初の開幕投手に抜擢されましたし、今年も変わらぬ活躍を期待したいところです。ただ昨年は、髙橋投手以外の先発陣は立ち上がりが不安定だったことも多くありました。早いイニングで得点を取られてしまうと、中継ぎ投手の登板が増えてしまう。シーズンが進むと疲労も溜まってきて、中継ぎ陣も失点が多くなるという悪循環に陥ってしまいました。今年はそれを断ち切ってほしいです」
――小笠原慎之介投手がMLBのワシントン・ナショナルズに移籍し、新たな先発投手の台頭も求められますね。
「昨年の小笠原投手は5勝11敗と勝ち星には恵まれませんでしたが、先発ローテーションの軸としてチームを支えてくれましたから、抜けたのはチームにとっては大きな痛手だと思います。
――茉由さんが注目している、新戦力の投手はいますか?
「新たにチームに加わった、カイル・マラー投手です。練習試合を見ていた時に、父とも『開幕後に球速と球威がもう少し上がってくれば、よさそうじゃない?』と話していて。オープン戦でも安定したピッチングを見せていましたし、頼もしい存在になるんじゃないかと注目しています。
ただ、涌井秀章投手や大野雄大投手といったベテラン勢もまだまだ頑張ってほしいです。長いイニングを投げること、1年間ローテーションを守ることが大変になってきているかもしれませんが、頼りにしています」
【ベテラン勢や新守護神、根尾の奮起にも期待】
――茉由さんはイベントでも、大野投手のユニフォームを着用していましたね。昨年の大野投手は、9試合に登板して2勝6敗でしたが、今年への期待を聞かせてください。
「私は10年ほど前から大野投手を応援しています。ストライクゾーンのギリギリに投げ込むスタイルなので、微妙なコースがボール判定をされることもあり、『いい投球をしているのにもったいないな』と歯がゆい思いをしたこともありました。
ただ、今年の春季キャンプでは調子がよさそうでしたし、先発としてマウンドに上がる姿がたくさん見られるシーズンになるといいですね」
――2023年から2年連続で4勝と、不本意なシーズンが続く柳裕也投手の復活も待たれます。
「そうですね。私がキャンプ地の北谷(ちゃたん)を訪れた時、柳投手が練習試合で先発していて、まだ股関節か腰に違和感があったようで『仕上がるまでに時間がかかるのかな......』と感じたんですけど、徐々に調子を上げて開幕を迎えたので期待しています。
まだ30歳ですし、再びエース的な存在として活躍する姿が見たいですね。
――昨秋のドラフト1位で入団した金丸夢斗投手はいかがですか?
「昨年に腰痛を経験したためか、キャンプでもスローペースでの調整を続けているようでした。1軍で見られる日が楽しみですが、シーズンは長いですから、長い目で待とうと思います」
――続けて、ライデル・マルティネスが移籍したリリーフ陣についても伺いたいと思います。
「確かに、ライデル・マルティネス投手の抜けた穴は大きいですが、代わりに9回を任されることになりそうな松山晋也投手に期待したいです。
あとは、身体がひと回り大きくなって球威も増した藤嶋健人投手や、清水達也投手といった投手陣をどのように使い分けていくのか、井上新監督の采配に注目したいです。7~9回の勝ちパターンの投手が固定できれば本当に心強いですし、勝利にも近づいていくと思うので、リリーフ陣の活躍もたくさん見られるシーズンになってほしいですね」
――今年7年目の根尾昂投手についてはいかがですか?
「私個人としては、もし先発として起用するのなら、長いイニングを投げる姿が見たいです。中継ぎとして投げるのなら、先発が早い回にマウンドを降りてしまった時に登板するような感じですかね。根尾投手の集中力は目を見張るものがありますし、登板するとスタジアムも盛り上がります。なので、『今年こそ開花してほしい』と思っています」
【野手陣は打順の固定が理想】
――続いて、野手陣についての印象はいかがですか?
「石川昂弥選手(4月12日に登録抹消)、細川成也選手、福永裕基選手(ケガで離脱中)が主軸で活躍する姿が見たいですね。昨年の石川選手は82試合に出場し、打率.272、4本塁打、25打点。先日、一緒に練習試合を見ていた父も『年齢的(23歳)には、チームの中心として活躍していてもおかしくない』と話していましたが、まだインパクトのある成績を残せていない印象もあります。強いチームは打順が固定されていることも多いので、石川選手には頑張ってほしいです」
――昨年は固定できなかったポジションもありましたね。
「そうですね。捕手のレギュラーが固定できなかったり、二遊間が日替わりだったりすることがありました。レギュラーや打順が固定されたら、選手たちも自分に求められる役割に徹しやすくなると思いますし、成績アップにつながるんじゃないかと思うので、『ひとりでも多くの選手がレギュラーを掴み取ってほしい』と願っています」
――昨年は、先ほど話題に出た福永選手や、村松開人選手が台頭しました。
「レギュラーを掴み、1年間を戦いましたね。今年はフルシーズンを戦い抜くスタミナも備えているように感じますし、昨年よりも安定したパフォーマンスが発揮できるんじゃないかと。福永選手はケガからの復帰を待つばかりですが、昨年からの上積みを期待したいです」
――打線では、中田翔選手の存在も大きいですね。昨年は故障もありましたが、今年に懸ける思いは相当だと思います。
「キャンプで中田選手を見て、徹底的に身体を絞っているのに驚かされました。15キロくらい減量したそうですが、違いは一目瞭然でしたし、『相当な覚悟があるんだな』と感じました。チームにとって貴重な長打力を備えた選手ですし、中田選手の"ここぞ"という場面での勝負強さも欠かせません。起用法は、新加入のジェイソン・ボスラー選手との兼ね合いもあると思いますが、頼もしい存在であることに変わりはありません」
――野手陣でベテランといえば、大島洋平選手も忘れてはいけません。昨年は代打起用が中心で、本来の活躍とはいきませんでした。
「ずっと1番・センターとして試合に出場してきましたし、『4、5打席のなかで結果を残すタイプの選手』と私は思っているので、昨年はこれまでのシーズンと違いを感じることも多かったんじゃないでしょうか。現在、センターは岡林勇希選手が守っていますが、大島選手も先発なら打率.270~.280くらいは打てる力を持っているように感じています。
個人的には、『3つある外野のポジションのどこかで、先発で起用できないのかな?』とも思っているんですけど、本人やチームの事情によりますよね。キャンプでは、大島選手は『調子はぼちぼちです』と話してくれましたが、大島選手も今年に懸ける思いは強いはず。昨年の悔しさを晴らす1年にしてもらいたいです」
(後編:娘が明かす父・道大の素顔 巨人移籍でヒゲを剃った時や劇的サヨナラホームランの瞬間も語った>>)
【プロフィール】
小笠原茉由(おがさわら・まゆ)
1999年、千葉県生まれ。2019年の舞台「永遠の一秒」のヒロイン役でデビュー。 日大芸術学部卒。元プロ野球選手の小笠原道大氏の娘で、熱烈な中日ファンとして知られる。