3歳牡馬ランキング(後編)

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前編◆【競馬予想】日本ダービーで世代の頂点に立つ可能性がある「3歳牡馬ランキング」>>

 競馬界最高峰のレースとなるGI日本ダービー(6月1日/東京・芝2400m)の発走まで、まもなくである。はたして、世代の頂点に立つのはどの馬なのか――。

 その大一番を前にしての、3歳牡馬の『Sportiva オリジナル番付(※)』で1位、2位に評価された馬を紹介したい。
※『Sportivaオリジナル番付』とは、デイリー馬三郎の吉田順一記者、日刊スポーツの木南友輔記者、JRAのホームページでも重賞データ分析を寄稿する競馬評論家の伊吹雅也氏、フリーライターの土屋真光氏、Sportiva編集部競馬班の5者それぞれが、今回はダービーに挑む3歳牡馬の、現時点における実力・能力を分析しランクづけ。さらに、そのランキングの1位を5点、2位を4点、3位を3点、4位を2点、5位を1点として、総合ポイントを集計したもの。

 2位は、GI皐月賞(4月20日/中山・芝2000m)を制したミュージアムマイル(牡3歳/父リオンディーズ)。前回(皐月賞前の本企画)はランク外に落ちてしまったが、見事に戴冠を遂げて再浮上。二冠達成なるか、大いに注目を集めている。

吉田順一氏(デイリー馬三郎)
「GII弥生賞(4着。3月9日/中山・芝2000m)時に比べると、皐月賞では明らかにやる気がみなぎっていて、攻め気配も上昇していました。道中では、ジョバンニ(牡3歳/父エピファネイア)と接触するなど決してスムーズではありませんでしたが、4角から動くと直線ではこの馬らしい末脚を炸裂。勝負どころで動きながらも、直線で爆発力を見せた3戦目、1勝クラスの黄菊賞(11月10日/京都・芝2000m)での勝ちっぷりが圧巻だったのですが、その時と同じような内容での完勝でした。

 ダービーに向けては、状態面の伸びしろなどを含めて総合力ではクロワデュノール(牡3歳/父キタサンブラック)に分があるものの、強靭な末脚はタフな舞台や展開になった時に大きな武器となります。怖い存在であることに変わりはありません」

土屋真光氏(フリーライター)
「弥生賞は、仕上がり途上でした。

しかも、トリッキーなレース展開に対して、外、外をやや強引に回っていっての結果。それでも、皐月賞に向けて脚を測っていたような感がありました。

 そこから、本番の皐月賞ではジョアン・モレイラ騎手にバトンが渡されて、一発回答。ここ一番で勝てる馬をきっちり勝たせられるモレイラ騎手の手腕には、『さすが』のひと言しかありません。それに応えたミュージアムマイルも立派。やはり力があったからこそ、だと思います。

 ただし、皐月賞はモレイラ騎手騎乗での120点の競馬。次も同じような走りができるとは限りません。さらに、レコード勝ちでの激走のあとゆえ、その状態が気がかり。ダービーでは能力を存分に発揮できる状態にあるかどうか、という点がカギになるのではないでしょうか」

 1位に輝いたのは、今回もクロワデュノール。再び満票の評価を受けた。皐月賞では断然の人気を裏切る形となったが、レコード決着となる厳しい流れを早めに仕掛けていきながら、最後まで勝ち負けを演じて2着。

"負けて強し"の印象を強烈に残し、ダービーでも主役を務めることは間違いない。

伊吹雅也氏(競馬評論家)
「5月11日終了時点の本賞金は1億9520万円。JRAに所属する現3歳世代の馬としては、ミュージアムマイル(2億5410万円)、エンブロイダリー(1億9527万円)に次ぐ単独3位。ただし、一走あたりの賞金は4880万円で、2位のミュージアムマイル(4235万円)らを上回る単独トップです。デビュー戦からの連勝はストップしてしまったものの、引き続き主役の一頭として扱うべきでしょう。

 ダービーは、血統に注目したい一戦。父にミスタープロスペクター系種牡馬を持つ馬は、2019年以降に24頭いたものの、すべて4着以下に敗れています。また、出走数が6戦以上の馬も、2020年以降に22頭いて連対ゼロ。3着1回で、3着内率4.5%です。

 皐月賞で先着を許したミュージアムマイルはこの両条件に引っ掛かっていますし、ダービーでは逆転を果たす可能性がかなり高いと見ていいのではないでしょうか」

木南友輔氏(日刊スポーツ)
「圧倒的支持を集めた皐月賞で負けてしまったことで、大いに期待されていた三冠達成は消えてしまいました。しかし、この逆境をプラスに変えられる名馬となる――そんな可能性がこの馬にはあると思っています。ダービーでのレースぶりに注目です」

吉田氏
「2歳時に、新馬(6月9日/東京・芝1800m)→GII東京スポーツ杯2歳S(11月16日/東京・芝1800m)→GIホープフルS(12月28日/中山・芝2000m)と3連勝。

そこから、クラシック初戦の皐月賞にぶっつけ本番で挑みました。

 実はその間、栗東入りしてからなかなか状態が上がってこなくて、陣営のトーンは低かったと聞いています。実際、1週前の追い切りではCWで好時計をマークしましたが、フォトパドックは今ひとつ。前重心でトモを流し、後肢の臀部(でんぶ)も凹んでホープフルS時よりは劣るシルエットに見えました。

 そのため、レース当週には多少よくなっていましたが、状態は80点~85点ぐらいと判断しました。ところが、競馬にいくと圧巻の走りを披露。ファウストラーゼン(牡3歳/父モズアスコット)がまくっていった際、前が狭くなってポジションを下げる不利を受けながらも、勝負どころで追い上げて、直線半ばで一度は先頭に立ちました。

 最後はミュージアムマイルの瞬発力に屈しましたが、1分57秒3の走破時計をマーク。競馬に臨む状態面とレース中の不利を鑑みれば、まさしく"負けて強し"。ダービーでは状態を上げてくるでしょうし、ペースを間違えることなく、長く脚を使う競馬ができれば、今度こそ世代ナンバー1であることを証明してくれるでしょう」

【競馬予想】日本ダービーの行方がわかる「3歳牡馬ランキング」 クロワデュノールは今度こそ勝てるのか

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