セルジオ越後の「新・サッカー一蹴両断」(36)
北中米ワールドカップはいよいよ決勝トーナメント(ベスト32)に突入し、われらが日本代表は、史上最多5度の優勝を誇るブラジルと対戦する。おなじみのご意見番、ブラジル出身のセルジオ越後氏はこの一戦を特別な思いで迎える。
(35)を読む>>>グループ2位通過のサッカー日本代表に、セルジオ越後「目指すのは優勝じゃない。ベスト8でも名誉なこと」
【サッカーを通じてできたたくさんの仲間がいる】
日本がブラジルとワールドカップで対戦するのは20年ぶり。前回はコテンパンにやられたけど(2006年ドイツ大会では1-4で敗戦)、今回はどうなるか。
僕にとっても感慨深い。今回の対戦が決まり、みんなに「セルジオさんはどっちを応援するの?」と聞かれるけど、「センターライン上で観るよ」と答えている。実際、どっちも応援しているし、どっちが勝っても楽しめるからね。
ただ、本音を言えば日本だ。だって、僕はブラジル人だけど、もう50年以上も日本にいるんだよ。サッカーを通じてできたたくさんの仲間や友人がいる。日本サッカー協会にも、とてもお世話になった。森保一監督も子どもの頃にサッカー教室に来てくれて、今でも食事に行くことがある。
もちろん、生まれ育ったブラジルが大事なことにも変わりはない。
20年前はブラジルを応援していたけど、もうブラジルのことも知らなくなってきた。長く住んでいて友人がたくさんいる場所が新しい故郷になるのは、僕にとって自然なこと。だから、日本を応援する。ちなみに、これはジョークだけど、ブラジルが勝つよりも日本が勝ったほうが、僕の仕事も増えるだろう(笑)。
今回のブラジルは、スターと呼べる選手はヴィニシウス・ジュニオールくらい。34歳になったネイマールはベンチを温めている。王国といっても、大穴の存在として優勝を狙う立場だ。初戦のモロッコ戦(1-1)も相手に主導権を握られていた。
ただ、それでも日本が勝つのは簡単じゃない。
攻撃の中心は、その10月の親善試合でブラジルがまだリードしている段階でベンチに下がったヴィニシウス。所属するレアル・マドリードでは左サイドに張ってプレーしているけど、代表では中央にもどんどん入ってくる。グループステージで3得点を挙げたマテウス・クーニャとの連係も徐々によくなっている。
中盤にも、運動量が豊富なつなぎ役のブルーノ・ギマランイスと、やはり運動量も備えた司令塔のルーカス・パケタと軸になる選手がいる。また、ラフィーニャのケガで出番が回ってきた19歳のラヤンという面白い存在も出てきた。守備も整備されて、失点が少なくなった。フランス、スペイン、アルゼンチンといった優勝候補とは差があるものの、日本にとっては手ごわい相手だ。
【日本が上回る部分はカウンターの速さ】
ブラジル国民は今回の代表チームにあまり期待していないと言われている。でも、それでもなおプライドがあって、優勝以外は準優勝でもベスト4でもすべて失敗という国民性。ワールドカップ本番のベスト32で日本に負けることなど許されないし、負けたら大変なことになる。カルロ・アンチェロッティ監督も選手たちも目の色を変えて日本戦に臨むはずだ。
そんなブラジルに日本が勝つためには、引いて守ってカウンターに徹すること。日本がブラジルを上回っている部分はカウンターの速さ。耐えて耐えて点を取られないでいれば、チャンスは必ずやってくる。
カギを握る選手を挙げるなら堂安律かな。対面となるヴィニシウスを潰せるかどうか。堂安はオランダ戦では相手の攻撃のキーマンであるコーディ・ガクポを完全に抑えた。それと同じ役割を果たせるか。あとは佐野海舟だね。相手のボール保持時間が長くなるなか、彼の中盤での守備は欠かせない。森保監督もそれを見越して、彼をスウェーデン戦では温存したのだろう。思いきり暴れてほしい。
攻撃では中村敬斗。

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