現有戦力から読み解く「2026ドラフトで獲るべき選手」~日本ハム編
今年もドラフト会議の季節がやってきた。各球団ともシーズンを振り返りながら、来季に向けた補強ポイントを洗い出し、アマチュア選手の最終的な絞り込みに入っていることだろう。
【投手陣再建が最優先課題】
今季78勝62敗3分、勝率.557の3位。昨季の83勝57敗3分から勝ち星を5つ減らしたものの、2年連続でAクラス入りを果たした。
ただ、その戦いぶりを振り返ると、来季に向けた課題が浮かび上がってくる。下位3球団には、オリックスに16勝9敗、ロッテに15勝10敗、楽天に16勝9敗と、計47勝28敗の圧倒的な強さを発揮。西武とも12勝12敗1分と互角に渡り合った。
問題はソフトバンクだ。5勝18敗2分と大きく負け越し、優勝した宿敵との間には明確な力の差があった。リーグ制覇を目指すなら、まずはこの壁を乗り越えなければならない。そのためにも、投手陣の立て直しは急務だろう。
2024年のドラフトでは、福岡大大濠から1位指名した「二刀流」の柴田獅子を含め、支配下6選手のうち5人が投手。
だから、というわけではないだろうが、昨季2.53だったチーム防御率は今季3.38まで悪化。失点も409から529へと120点も増えた。数字を見れば、「今年は投手の年」などと悠長なことを言っている場合ではない。どう考えたって、まずは強力な投手だろう。
【気になる織田翔希の動向】
日本ハムがスカウト会議後に毎年のように掲げる「その年の一番いい選手を1位指名する」という方針。使い勝手のいいフレーズではあるが、わかったようでよくわからない。
ただ、今年の「キーパーソン」は織田翔希(横浜/投手/186センチ・80キロ/右投右打)になるのではないかと思っている。
現在はソフトバンクでプレーする近藤健介をはじめ、5年連続2ケタ本塁打をマークした万波中正、バッティングセンスの塊・淺間大基と、横浜高と日本ハムには浅からぬ縁がある。「横浜高出身の選手はさすが」という球団関係者の声もよく聞こえてくる。
その横浜高から、とんでもない大器が現れた。
本格派右腕としての潜在能力は、誰もが認めるところだ。今夏の甲子園では、いつでも150キロ台のストレートを投げられるうえに、スライダー、カットボール、カーブ、フォークと多彩な持ち球を駆使。勝利を最優先に組み立てる投球には、高校生離れした落ち着きを感じたものだ。ただ、織田に関してはメジャー球団も触手を伸ばしているという噂もある。今後の動向に注目したい。
一方で、投手陣は来季なんとかしなければ、そのままずるずると弱体化しかねない。ならば、強敵を相手にするほど牙をむく、イキのいい即戦力がほしい。
そう考えれば、実力、経験、存在感の総合力で頭ひとつリードする鈴木泰成(東海大菅生→青山学院大/投手/187センチ・92キロ/右投右打)が、「今年の一番いい選手」にふさわしい。
ただ、補強の目的を「打倒ソフトバンク」に絞るなら、あの強力な左打線に立ち向かえるサウスポーを補強するという手もある。ボールに強さがあり、内角を突ける。そして、打ち取れる勝負球がある──。
そんな条件で絞れば、大学生では有馬伽久(がく/愛工大名電→立命館大/投手/175センチ・77キロ/左投左打)、渡辺和大(高松商→慶應義塾大/投手/180センチ・80キロ/左投左打)、星野世那(近江→大阪商業大/投手/179センチ・78キロ/左投左打)、社会人では谷内隆悟(やち・りゅうご/鳥羽→同志社大→エイジェック/投手/181センチ・80キロ/左投左打)あたりか。
有馬にはクロスファイアとスライダー、渡辺にはタテのスライダー、星野にはチェンジアップと、それぞれ明確なウイニングショットがある。谷内はアベレージ140キロ台後半のストレートと、同じピッチトンネルから沈んでいくボールを操る。社会人4年目の26歳。もしかしたら「盲点」になっている左腕かもしれない。
織田翔希か、即戦力か──なんとも悩ましい「二者択一」になっているのではないか。
【「谷元2世」も面白い存在】
昨年から日本ハムの試合を見ていると、右腕はオーソドックスな長身のオーバーハンドが多い。もちろん、達孝太を筆頭にレベルは高い。ただ、相手打者の目線に立ってみると、似たタイプが続くことで、比較的合わせやすい面もあるのではないか。
そこで、目先を変える意味でもサイドハンドの剛腕タイプはどうか。
馬場拓海(福岡大大濠→日本体育大/投手/184センチ・88キロ/右投右打)が、今秋のリーグ戦でロングリリーフから抑えまで担い、実戦力をメキメキと高めている。9月19日のオリックス戦でプロ初本塁打を放った柴田獅子は、福岡大大濠の2学年後輩にあたる。
木口永翔(えいと/筑陽学園→上武大/投手/185センチ・91キロ/右投右打)も面白い。
そういえば......と、都市対抗を見ながら思い出した投手がいる。かつて日本ハム、中日のリリーフとして、167センチの小柄な体で通算524試合に登板し、154ホールドを記録した谷元圭介だ。
その谷元と、背格好から投げっぷりまで「そっくり」と感心したのが、樫村佳歩(けいと/水城→立正大→セガサミー/166センチ・71キロ/右投右打)である。
2400~2500回転の猛烈なバックスピンがかかった150キロ前後の快速球に、カットボール、カーブ、高速フォーク。今夏の都市対抗にはJR東日本の補強選手として出場した。ピンチでも決然と打者に立ち向かい、球威で圧倒するスタイルは「谷元2世」と呼ぶにふさわしい。
セガサミーは今シーズン限りで野球部としての活動を終了することを発表している。樫村は社会人1年目ながら指名対象となるだけに、こうした即戦力候補を押さえておくのも面白い。
【押さえておきたい道産子右腕】
捕手には田宮裕涼、進藤勇也の2枚がいて、ファームでは藤森海斗も着実に成長している。
ならば、さらに「未来の投手陣」の強化を志向してもいいだろう。
2024年のドラフト組も、柴田は投手として8試合に登板して防御率2.03を記録し、打者としても9月19日のオリックス戦でプロ初本塁打を放つなど存在感を示した。一方で、ほかの投手たちはまだ一軍で確固たる地位を築くまでには至っていない。
「道産子」なら、夏前に150キロの大台を突破した近藤琉唯斗(るいと/小樽双葉/投手/183センチ・85キロ/右投右打)は押さえておきたい。
北口晃大(八戸学院光星/投手/187センチ・90キロ/右投右打)は、雄大な体躯から投げ込む140キロ台後半のストレートに、いいフォークを持っている。
そこまで大柄ではなくても、クレバーな投球センスと、したたかな勝負根性なら木下瑛二(高川学園/投手/178センチ・83キロ/右投右打)だろう。最近のプロ野球では、この手の投手がいい仕事をしている。
いずれにしても、今季リーグ1位の177本塁打を記録した打線には、すでに十分な破壊力がある。2016年以来となるリーグ優勝を本気で目指すなら、今年のドラフトは「投手を獲る」。その一点を最優先に考えていい。
安倍昌彦●文 text by Masahiko Abe










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