この記事をまとめると
フォルクスワーゲンの「R」シリーズの第1弾としてリリースされたのがビートルRSiだった



■世界限定250台で日本には45台導入、価格は895万円とかなり高価だったが瞬間的に完売



■225馬力のV6を搭載した4WDで高音かつ高圧なF1チックなサウンドを放つ傑作



ファニーなニュービートルに用意された本気のホットモデル

ポルシェ911が世に出はじめのころ「ステロイドでパンプアップされたビートル」などと揶揄されたことがありました。そこへいくと、2001年に登場したニュービートルのRSiはフォルクスワーゲンが本気でビートルをパンプアップ=チューンアップしたスペシャルに違いありません。なるほど、大メーカーが本気を出すと後世に残るようなクルマができあがる、という典型といえるでしょう。



VWが本気でニュービートルをイジリ倒したバカッ速モデル! R...の画像はこちら >>



2001年、フォルクスワーゲンは後に続くスペシャルマシン「R」シリーズの第一弾として、ビートルRSiを発表。世界限定250台とされたものの、日本には45台が割り当てられましたから、それなりのマーケットとして認められていたのでしょう。それが証拠に、45台は895万円と目玉の飛び出るようなビートルだったにも関わらず、瞬く間に完売。ビートルマニア、あるいはスペシャルカーマニアのお宝としてガレージに収まったのです。



とにかくRSiはひと目でノーマルとは違うスタイル、圧力に満ちていて、とりわけリヤに生えた大仰なウイングは知らない人にとって「オートサロンにでも出すのかいな」と思われても仕方ない派手さ(笑)。また、前後とも110mmも拡幅されたフェンダーもドイツの戦車かのような重厚感を醸しだしています。

ちなみに、運転してみると車幅感覚をつかむのにコツが必要で、サーキットならまだしも、市街地ではちょっとばかり気をつかうことに。



VWが本気でニュービートルをイジリ倒したバカッ速モデル! Rシリーズの第1弾「RSi」の存在感がヤバすぎる!!
ニュービートルRSiのフロントビュー



無論、このフェンダーに収まるタイヤ&ホイールもサイズアップされており、ミシュランの最高級パフォーマンスタイヤ「パイロットスポーツ」が選ばれたのと同時に、ヒタヒタのシャコタンスタイルを形作っています。こうした絶妙な佇まいを作れるあたり、Rシリーズのチームは相当なセンス&テクの持ち主だといえるのではないでしょうか。



VWが本気でニュービートルをイジリ倒したバカッ速モデル! Rシリーズの第1弾「RSi」の存在感がヤバすぎる!!
ニュービートルRSiのサイドビュー



そして、駆動はノーマルのFFではなくVWの全輪駆動システム、4モーションを採用。電子制御油圧多板クラッチを用いて、接続と開放を自動的に行うオンデマンド4WDシステムで、アウディTTなどでお馴染みになっていたもの。ちなみに、RSiでは後輪のトラクション確保のためにリヤサスをマルチリンクへと変更しています。



Rチームのセンスの良さはインテリアにも健在

ボディやシャシーのスペシャライズに伴い、選ばれたエンジンはボーラなどに搭載された狭角V6(バンク角15°)、いわゆるVR6エンジンでした。が、2.8リッターのSOHCではもっさりしちゃってとてもRSiにはマッチしないということで、3.2リッターDOHCへとチューンアップ。



最高出力225馬力/6200rpm、最大トルク32.6kgm/3000rpmという性能を発揮することに。それでも、0-100㎞/h加速は6.5秒という公表値は「まあまあ」ってところでしょうか。



VWが本気でニュービートルをイジリ倒したバカッ速モデル! Rシリーズの第1弾「RSi」の存在感がヤバすぎる!!
ニュービートルRSiの走行シーン



ところでVR6エンジンは、構造上、吸気ポートと排気ポート、およびエキゾーストマニホールドの長さを微妙に調節することが求められます。この際、RSiに搭載されたユニットは、ざっくり高回転型に仕立てられたため、意外なほど排気音が高音かつ高圧となり、サーキットなどではF1チックなサウンドを耳にすることができます。



VWの本気、「R」チームのセンスはインテリアにも存分に発揮されています。カーボン、アルミ、そしてレザーをふんだんに使ったコクピットは、まさに「男の仕事場」感マックス。



VWが本気でニュービートルをイジリ倒したバカッ速モデル! Rシリーズの第1弾「RSi」の存在感がヤバすぎる!!
ニュービートルRSiのダッシュボード



手動式ウインドウやセンターコンソールへと移設されたイグニションキーなど、ドライバーをその気にさせる演出もたっぷりです。



それでいて、4人乗りを守っているあたりは、VWの良心というか保守性が垣間見えるというもの。ポルシェなんかはリヤシートを省いてロールケージでも組みそうなところですからね。



VWが本気でニュービートルをイジリ倒したバカッ速モデル! Rシリーズの第1弾「RSi」の存在感がヤバすぎる!!
ニュービートルRSiのインテリア



なお、国内で販売されたのは45台ですので中古車は絶望的かと思いきや、3年に1台くらいの割合で出会える感じ。

価格はそれなりに強気だったり、コレクターズアイテムなわりにそこそこ距離が出ているなどしていますが、300万~500万円てな相場かと。



VWが本気でニュービートルをイジリ倒したバカッ速モデル! R...の画像はこちら >>



また、ひとりだけオーナーにリサーチしたところ、「故障といえる故障はない」とのことで、普通のニュービートルと同じく「バッテリー上がりだけ注意していれば快調に走る」と、スペシャルカーといえどもさすがフォルクスワーゲンといったところでしょうか。